Sightsong

自縄自縛日記

ペーター・ブロッツマン+ヘザー・リー『Sex Tape』

2017-06-08 22:33:42 | アヴァンギャルド・ジャズ

ペーター・ブロッツマン+ヘザー・リー『Sex Tape』(TROST、2016年)を聴く。

Heather Leigh (pedal steel g)
Peter Brotzmann (ts, as, tarogato, B-flat cl)

ペーター・ブロッツマンの作品は、つまり最初から最後までいつもの通り吹くだけなのかというものが多いわけだが、これもまたそうである。もちろん貶しているわけでも褒めているわけでもない。だからブロッツマンなのだということだ。

とは言え、本盤は相手がヘザー・リーとあって、デュオとしてのサウンドはちょっと新鮮である。彼女のペダル・スティール・ギターは時空間を延々と飽くことなく歪ませ続ける。まるでのこぎりをくねくねと曲げて、それに写ったブロッツマンと自分の顔を冷ややかに眺めて内心愉しんでいるようだ。

ただでさえ我が道しかないブロッツマンのブロウが、歪んだコードとのピッチのずれによって、さらに魅力的なものになっている。これをライヴで体感したら、目の前がくらくらして倒れてしまうのではないのか。

●ペーター・ブロッツマン
ブロッツ&サブ@新宿ピットイン(2015年)
ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男@新宿ピットイン(2014年)
ペーター・ブロッツマン@新宿ピットイン(2011年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Concert for Fukushima / Wels 2011』(2011年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』(2011年)
ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男『YATAGARASU』(2011年)
ハン・ベニンク『Hazentijd』(2009年)
ヨハネス・バウアー+ペーター・ブロッツマン『Blue City』(1997年)
バーグマン+ブロッツマン+シリル『Exhilaration』(1996年)
『Vier Tiere』(1994年)
ペーター・ブロッツマン+羽野昌二+山内テツ+郷津晴彦『Dare Devil』(1991年)
ペーター・ブロッツマン+フレッド・ホプキンス+ラシッド・アリ『Songlines』(1991年)
エバ・ヤーン『Rising Tones Cross』(1985年)
『BROTZM/FMPのレコードジャケット 1969-1989』
ペーター・ブロッツマン
セシル・テイラーのブラックセイントとソウルノートの5枚組ボックスセット(1979-86年) 


ピーター・ヴァン・ハフェル+ソフィー・タシニョン『Hufflignon』

2017-06-08 21:27:18 | アヴァンギャルド・ジャズ

ピーター・ヴァン・ハフェル+ソフィー・タシニョン『Hufflignon』(clean feed、2008年)を聴く。

Peter Van Huffel (as, ss)
Sophie Tassignon (voice)
Samuel Blaser (tb)
Michael Bates (b)

タイトルからしてヘンである。たぶんハフェルとタシニョンのふたりの名前を合わせてハフリニョン。

サウンドはもっと変わっている。奇妙なアンサンブルのもと、サックスとヴォイスとのユニゾンがぞわぞわするほど気持ち良い。さらにトロンボーンとベースとがまた明後日の方向を向いて踊っており、意識があっちとこっちとに連れまわされる。

ゴリラ・マスク『Iron Lung』を聴いたときには、ハフェルについて、摩擦係数が高く細かなヴィブラートも聴かせる面白いサックスだなと思ったのだが、ここでは、めかぶのようにへばりつくものの、また別の塩っ辛いサックスを吹いている。

●ピーター・ヴァン・ハフェル
ゴリラ・マスク『Iron Lung』(2016年)