Sightsong

自縄自縛日記

明田川荘之+齋藤徹『LIFE TIME』

2017-06-24 11:06:12 | アヴァンギャルド・ジャズ

明田川荘之+齋藤徹『LIFE TIME』(Aketa's Disk、2005年)を聴く。

Shoji Aketagawa 明田川荘之 (p, ocarina)
Tetsu Saitoh 齋藤徹 (b)

アケタの店におけるライヴ録音、2枚組。

やはりというか、最初から最後までアケタさんのピアノによる抒情が溢れていて、これは壁を作るためではない意図で、日本的、あるいは中央線的と言ってよいのだ。どうしてもずっと聴いていると、哀しさとか寂しさとか、失われたものへの懐かしさとか、そんな気持ちで身動きが取れなくなる。

齋藤徹さんもいつものテツさんである。弦がびりびりと震えて、里山が丘とまわりの田畑や人里とシームレスであるように、そのコントラバスの周波数はどこかで区切りをもつわけではなく広い。リラックスした演奏でもあるのかな。

昔アケタの店の土曜日深夜の部で、アケタさんが、オカリーナというものは聴いていて飽きてしまうので、限界は37分なのだと冗談を言っていた記憶がある。そういう意図があるのかどうか、ここでも、たとえば「Now's the Time」や「St. Thomas」のジャズスタンダードで、最初や最後だけでオカリーナによる味を付ける。しかしわたしはずっとオカリーナでもよい。もちろんずっとピアノでもよい。

●明田川荘之
明田川荘之『ライヴ・イン・函館「あうん堂ホール」』(2013年)
『生活向上委員会ライブ・イン・益田』(1976年)
中央線ジャズ

●齋藤徹
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
齋藤徹@バーバー富士(2017年)
齋藤徹+今井和雄@稲毛Candy(2017年)
齋藤徹 plays JAZZ@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
齋藤徹ワークショップ「寄港」第ゼロ回@いずるば(2017年)
りら@七針(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
齋藤徹『TRAVESSIA』(2016年)
齋藤徹の世界・還暦記念コントラバスリサイタル@永福町ソノリウム(2016年)
かみむら泰一+齋藤徹@キッド・アイラック・アート・ホール(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
齋藤徹・バッハ無伴奏チェロ組曲@横濱エアジン(2016年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年) 
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』(2012年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐(2011年)
齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」(2011年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)
齋藤徹『Contrabass Solo at ORT』(2010年)
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』(2009年)
齋藤徹、2009年5月、東中野(2009年)
ミシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm(2007年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹+今井和雄+沢井一恵『Une Chance Pour L'Ombre』(2003年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999、2000年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ+チョン・チュルギ+坪井紀子+ザイ・クーニン『ペイガン・ヒム』(1999年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ『交感』(1999年)
久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、池澤夏樹『眠る女』、齋藤徹『パナリ』(1996年)
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』(1995年)
ユーラシアン・エコーズ、金石出(1993、1994年)
ジョゼフ・ジャーマン 


ロル・コクスヒル+ジョン・エドワーズ+スティーヴ・ノブル『The Early Years』

2017-06-24 09:00:26 | アヴァンギャルド・ジャズ

ロル・コクスヒル+ジョン・エドワーズ+スティーヴ・ノブル『The Early Years』(Ping Pong Productions、2004年)を聴く。

Lol Coxhill (ss)
John Edwards (b)
Steve Noble (ds)

超人というか変態というか、そういう人たちが繰り広げる演奏は面白い。

ジョン・エドワーズの冗談のように強靭なコントラバス。どうもライヴを観て以来、弦がびちんと切れてその勢いでこちらの身体を直撃し死ぬほど痛くみみず腫れになる惨劇を想像するようになってしまった。そんな弦の張り具合が体感に近い形で迫ってくる音である。一方のスティーヴ・ノブルのドラムスは強いというよりも、シンバルの音でエドワーズの強さを分散させているような按配。

そしてロル・コクスヒルの過激な脱力。それは過激すぎて、猫がニャーと飛び乗ってくるのだが、実はもの凄い力でマッサージしてきて脱力せざるを得ないような。

●ロル・コクスヒル
ロル・コクスヒルが亡くなった(2012年)
ロル・コクスヒル+ミシェル・ドネダ『Sitting on Your Stairs』(2011年)
ロル・コクスヒル+アレックス・ワード『Old Sights, New Sounds』(2010年)
ロル・コクスヒル、2010年2月、ロンドン
突然段ボールとフレッド・フリス、ロル・コクスヒル(1981、98年)
フィル・ミントン+ロル・コクスヒル+ノエル・アクショテ『My Chelsea』(1997年)
コクスヒル/ミントン/アクショテのクリスマス集(1997年)
G.F.フィッツ-ジェラルド+ロル・コクスヒル『The Poppy-Seed Affair』(1981年)

●ジョン・エドワーズ
ユリエ・ケア3、リーマ@スーパーデラックス(2017年)
エヴァン・パーカー+ジョン・エドワーズ+クリス・コルサーノ『The Hurrah』
(2014年)
ジョン・エドワーズ+オッキュン・リー『White Cable Black Wires』(2011年)
パウル・ローフェンス+パウル・フブヴェーバー+ジョン・エドワーズ『PAPAJO』(2002年)

●スティーヴ・ノブル
ユリエ・ケア3、リーマ@スーパーデラックス(2017年)
ジョン・ダイクマン+スティーヴ・ノブル+ダーク・シリーズ『Obscure Fluctuations』(2015年)


松風M.A.S.H.@なってるハウス

2017-06-24 08:06:06 | アヴァンギャルド・ジャズ

入谷のなってるハウスに足を運ぶ(2017/6/23)。なんとM.A.S.H.に松風鉱一さんが客演、いつの間にか語感のいい「松風M.A.S.H.」。

Shiro Onuma 大沼志朗 (ds)
Junji Mori 森順治 (as, bcl, fl)
Hiraku Amemiya 雨宮拓 (p)
Guest:
Koichi Matsukaze 松風鉱一 (as, ts)

松風さんにわたしと同じ時期に師事していたSさんが、最近ではM.A.S.H.のライヴに飛び入りで参加もしていて(尊敬!)、そんな関係でつないで企画してくれたライヴ。接点がありそうでなさそうな、世界が同じようで違うような。

今回、松風さんはアルト(セルマー)とテナー(ヤナギサワ)。原田依幸さんとのデュオが出たとき、曲から発展させるのはいいけど何もないところのフリーって苦手なんだよなあ、と、松風さんが呟いていたことを覚えている。そんなわけなのでフリーを演奏している姿には不思議な印象を持つ。

ファーストセット、1曲目。森さんはアルト、松風さんはテナーから入ってアルト。同じアルトを吹いていると、ふたりの違いがあらわになって面白い。森さんは身体ごと飛翔し、シームレスに吹く。松風さんは構造を組み立てる。そのコントラストの中でドラムス、ピアノがクラスターを生成した。

2曲目。松風さんのアルトは以前のシャギーな音から可愛い音になったなと感じていたのだが、いやしかし、ここでは実に味のある音と松風節。聴いていてとても嬉しい。その間じっと考え込んでいた森さんがバスクラを吹き、やがて、テナーに持ち替えた松風さんと絡んだ。

セカンドセット、1曲目。松風さんはずっとアルト、森さんはバスクラ、アルト、フルート。雨宮さんがせりあがるようにホーンズに迫っていく時間がスリリングだった。

2曲目。松風さんのテナーのシャギーな音、対するは大沼志朗によるドラムス。それはまるで大ぶりな刀削麺を次々に鍋に投入するような、豪放ないくつもの塊だった。雨宮さん、森さんが参入し、しばらくして、いきなり潮目が変わった。雨宮さんはブギウギ風にも聴こえるピアノを弾いた。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4

●M.A.S.H.
林ライガ vs. のなか悟空@なってるハウス(2017年)
リアル・タイム・オーケストレイション@Ftarri(2016年)
森順治+高橋佑成+瀬尾高志+林ライガ@下北沢APOLLO(2016年)
本多滋世@阿佐ヶ谷天(2016年)
M.A.S.H.@七針(2016年)
森順治+橋本英樹@Ftarri(2016年)
M.A.S.H.@七針(2015年)

●松風鉱一
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その3)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2016年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その2)
松風鉱一@十条カフェスペース101(2016年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その1)
渋谷毅エッセンシャル・エリントン@新宿ピットイン(2015年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2015年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)
5年ぶりの松風鉱一トリオ@Lindenbaum(2013年)
松風鉱一カルテット@新宿ピットイン(2012年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
松風鉱一トリオ@Lindenbaum(2008年)
松風鉱一カルテット、ズミクロン50mm/f2(2007年)
原みどりとワンダー5『恋☆さざなみ慕情』(2006年)
松風鉱一『Good Nature』(1981年)
『生活向上委員会ライブ・イン・益田』(1976年)
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
森山威男『SMILE』、『Live at LOVELY』 
反対側の新宿ピットイン
くにおんジャズ、鳥飼否宇『密林』