Sightsong

自縄自縛日記

中村としまる+沼田順『The First Album』

2017-06-07 23:48:27 | アヴァンギャルド・ジャズ

中村としまる+沼田順『The First Album』(doubtmusic、2017年)を聴く。

Toshimaru Nakamura 中村としまる (no-input mixing board)
Jun Numata 沼田順 (g, oscilator, radio)

ちょうどこれが録音されたライヴを観ていた(内田静男+橋本孝之、中村としまる+沼田順@神保町試聴室)。そのときふたりの動きを視ながら音を脳内処理して感じたふたりのキャラの違いが、あらためて聴くと、ハイコントラストとなって露わになってくる。それゆえの面白さもある。

すなわち、静と動。抽象と具象。鉱物の物語と人間の物語。策謀と策動。下の重心と上の重心。パラノとスキゾ(いやそれはちょっと違うか)。うう、眠くてどろどろしていたのに眼が醒める。

沼田社長はツイートに「うちのヨメは「としまるさんの音は建築物であんたの音はその建築物の前で動いている人間だ」と評してましたが、」と書いておられて、それにも妙にツボを突かれてしまったのだった。

●中村としまる
Spontaneous Ensemble vol.7@東北沢OTOOTO(2017年)
内田静男+橋本孝之、中村としまる+沼田順@神保町試聴室(2017年)

●沼田順
RUINS、MELT-BANANA、MN @小岩bushbash(2017年)
内田静男+橋本孝之、中村としまる+沼田順@神保町試聴室(2017年) 


李政美『わたしはうたう』

2017-06-07 22:11:25 | ポップス

李政美『わたしはうたう』(オフィスとんがらし、1997年)を聴く。いぢょんみさんの最初のCDである。

李政美 (vo)
矢野敏広 (g, mandolin)
HALMA GEN (key)
和田啓 (クンダン, perc)

ゲスト:
向島ゆり子 (fiddle)
広瀬淳二 (ss)
塚本晃 (harmonica)
村山二朗 (篠笛)
宮崎節子 (チャング)

もうこのときから、歌声には堂々として湿り気があって、また聴きに行きたくなる。

金子みすゞの詩に李さんが曲を付けた「星とたんぽぽ」「わたしと小鳥とすずと」も良いのだが、何といっても、名曲「京成線」である。その歌詞「低い鉄橋のその下には/埋もれたままの悲しみ眠る」は関東大震災で虐殺された人たちのことであり、「川向うから吹く風は/なつかしい匂い運んでくる」とは皮革工場の匂いのことなのだという。(李さんのご両親は済州島生まれである。)

ところで、驚いたことに、12曲目「祈り」には広瀬淳二がソプラノサックスで参加している。さぞヘンな世界を創り出しているだろうと期待したが、普通の演奏だった。

●李政美
板橋文夫+李政美@どぅたっち(2012年)