Sightsong

自縄自縛日記

ハリス・アイゼンスタット『Recent Developments』

2018-09-26 23:55:27 | アヴァンギャルド・ジャズ

ハリス・アイゼンスタット『Recent Developments』(Songlines、2016年)を聴く。

Anna Webber (fl)
Sara Schoenbeck (bassoon)
Nate Wooley (tp)
Jeb Bishop (tb)
Dan Peck (tuba)
Brandon Seabrook (banjo)
Hank Roberts (cello)
Eivind Opsvik (b)
Harris Eisenstadt (ds)

ハリス・アイゼンスタットの作曲の雰囲気も、繊細で緻密なドラミングも貢献しているのだと思うが、爽やかなほどの自遊空間の中で、明らかに、各演奏者が曲と即興の両方を愉しんでいる。こんな感じの縛り方と解放はとても良い。

弦と管とが重なり合う快感がある。また、ブランドン・シーブルックが執拗に同フレーズで攻め、ハンク・ロバーツが色気のあるピチカート、アイヴィン・オプスヴィークが上品によれてみせる弦3人の絡まりあい(5曲目)なんてとても素敵である。ネイト・ウーリーのトランペットは静かではあってもストイックな抑制ではなく、むしろ愉しみを忍び笑いのように隠していたりして、このように広々とした音楽空間にも向いているように思える。ダン・ペックのチューバが下でラインを作り、その上でアンナ・ウェバーがひゅううと伸びていくフルートを吹く時間もまた良い(9曲目)。

そして気が付くと、アイゼンスタットがドラムやシンバルを肌理の細かいタッチで響かせている。

●ハリス・アイゼンスタット
ハリス・アイゼンスタット『On Parade In Parede』(2016年)
ハリス・アイゼンスタット『Old Growth Forest』(2015年)
ハリス・アイゼンスタット『Canada Day IV』(2015年)
ネイト・ウーリー『(Dance to) The Early Music』(2015年)
ネイト・ウーリー『(Put Your) Hands Together』(2011年)
ザ・コンバージェンス・カルテット『Slow and Steady』(2011年)


ジャック・ディミエール+バリー・ガイ+ルーカス・ニゲリ『Brainforest』

2018-09-26 22:40:01 | アヴァンギャルド・ジャズ

ジャック・ディミエール+バリー・ガイ+ルーカス・ニゲリ『Brainforest』(Intakt、2004-05年)を聴く。

Jacques Demierre (p)
Barry Guy (b)
Lucas Niggli (ds)

おそらくディミエールは、内部奏法だけでなく、鍵盤に対してさえもただならぬアプローチをしているのだろう。その手法と分かつことができないものとして、複数の音の波が重ね合わされて、実に奇妙で自由な運動空間が創り出されている。

粘りと強さとを共存させたようなガイのベースもまた、楽器との一体化というよりは、アプローチの音楽であるように思える。ディミエールとガイとが、そのようなキャラをもって、拳の打ち合いのような間合いの音楽を作り出している。運動が速すぎて捉えることができないからこそ面白い。

●ジャック・ディミエール
DDKトリオ+齋藤徹@下北沢Apollo(2018年)
DDKトリオ@Ftarri(2018年)
DDKトリオ『Cone of Confusion』(JazzTokyo)(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)

●バリー・ガイ
ガイ+クリスペル+リットン『Deep Memory』(2015年)
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(1981、91、98年)
マッツ・グスタフソン+バリー・ガイ『Frogging』(1997年)
マリリン・クリスペル+バリー・ガイ+ジェリー・ヘミングウェイ『Cascades』(1993年)
ジョン・スティーヴンス+トレヴァー・ワッツ+バリー・ガイ『No Fear』(1977年)