Sightsong

自縄自縛日記

ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、すずえり、大上流一、石川高、山崎阿弥@Ftarri

2018-09-21 06:54:15 | アヴァンギャルド・ジャズ

ゲリラ豪雨に遭ってずぶ濡れになり、水道橋のFtarri(2018/9/18)。

John Russell (g)
Stale Liavik Solberg (ds)
suzueri すずえり (prepared p)
Riuichi Daijo 大上流一 (g)
Ko Ishikawa 石川高 (笙)
Ami Yamasaki 山崎阿弥 (voice)

■ ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ+すずえり

すずえりさんのモーターと、ソルベルグが擦る音とが奇妙に重なる。ソルベルグはドラムにマレットやブラシを押し付けて、予定のリズムに乗せるのではなく、リズムを地べたで作る感覚。そこには重力や慣性があまりない。これは実にユニークな個性で、終始フレキシブルだった。また、シンバルなどの「しなり」の感覚も有効に使った。

これに対してすずえりさんはさほどトリッキーな行動に出ず、間をもたせたピアノや、シンプルなモーターの利用や、くさりでのプリペアドなどによって遊んだ。ソルベルグのほうを振り返って、また呼吸を重ならせた。

■ ジョン・ラッセル+大上流一

ラッセルのギターは音量が比較的平坦だ。しかしその領域から紛れもない個性が放たれている。さまざまなピックや指で音色を変え、ときに柔らかく、ときに地を這うように、十二音を公平に扱った。これに対して大上さんのそれは跳躍もし、「事件」のように響いた。

演奏の最後に、大上さんが鳴らすか鳴らさないかというところで(蛇足なので鳴らしてほしくなかったのだ)、鳴らさずに、弦を擦った。そしてラッセルはお茶目に微妙に一音を出した。この締め方は両者見事だった。

■ ジョン・ラッセル+石川高+山崎阿弥+ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ

周辺音から突然サウンドのレベルを持ち上げる石川さんの笙。これにラッセルとソルベルグとが可愛い音で応じ、程なくして、山崎さんがシュウウと宇宙人のように入ってくる。

ここからは四者別次元の音が複層を成したサウンドが展開された。ラッセルのかきむしりの中には鳥が居る。静かに笑ったりもする。山崎さんは咳をしてしまったのか意図的だったのか、それを別のヴォイスに発展させてゆく。石川さんのキーボードのような音も、ソルベルグの擦音も素晴らしい。四者は静かな雰囲気下でも蠢き続ける。

山崎さんが胸を叩き、ラッセルが指の腹でギターをパーカッションのように扱い、演奏も終焉に向かうのかと思ったら、ソルベルグが細い針金を使って静かに挑発をはじめた。まるで全員に話しかけているように聴こえる。ラッセルがギターの胴体と弦を擦る。そして、ここで笙とヴォイスにより、世界にまた色がついた。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●ジョン・ラッセル
豊住芳三郎+ジョン・ラッセル『無為自然』(2013年)
ドネダ+ラッセル+ターナー『The Cigar That Talks』(2009年)
『News from the Shed 1989』(1989年)
ジョン・ラッセル+フィル・デュラン+ジョン・ブッチャー『Conceits』(1987、92年)

●ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ
ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ『True Colours』(2017年)
ジョン・ブッチャー+ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ『So Beautiful, It Starts to Rain』
(2015年)
シルヴァ+ラスムセン+ソルベルグ『Free Electric Band』(2014年)
2016年の「このCD・このライヴ/コンサート」

●すずえり
角銅真実+横手ありさ、田中悠美子+清田裕美子、すずえり+大城真@Ftarri(2018年)
フタリのさとがえり@Ftarri(2018年)
Zhao Cong、すずえり、滝沢朋恵@Ftarri(2018年)
ファビオ・ペルレッタ+ロレンツォ・バローニ+秋山徹次+すずえり@Ftarri(2017年)
すずえり、フィオナ・リー『Ftarri de Solos』(2017年)

●大上流一
謝明諺+大上流一+岡川怜央@Ftarri(2018年)
Shield Reflection@Ftarri(2017年)
『OTOOTO』(2015、17年)

リアル・タイム・オーケストレイション@Ftarri(2016年)

●石川高
JAZZ ARTせんがわ2018(2018年)
齋藤徹ワークショップ「寄港」第ゼロ回@いずるば(2017年)
エヴァン・パーカー@スーパーデラックス(2016年)

●山崎阿弥
JAZZ ARTせんがわ2018(2018年)
石原雄治+山崎阿弥@Bar Isshee(2018年)
岩川光+山崎阿弥@アートスペース.kiten(2018年)