Sightsong

自縄自縛日記

ジョン・ラッセル+豊住芳三郎@稲毛Candy

2018-09-24 07:20:42 | アヴァンギャルド・ジャズ

稲毛のCandyにおいて、ジョン・ラッセルと豊住芳三郎とのデュオ(2018/9/23)。

John Russell (g)
Sabu Toyozumi 豊住芳三郎 (perc, 二胡)

豊住さんのプレイを観るのは久しぶりだ。特にこのようなインプロであると、意図的に演奏スタイルやグルーヴの慣性・連続性が断ち切られている。いや断ち切るというと嘘かもしれない。その分断工作の意図は明には見せず、端から分裂的である。

従って、豊住さんの動きからは目が離せない。重力の利用も跳躍もあった。慣性と連続性がないということは終わり方への執念もまたないということであって、3回の演奏すべて、ラッセルとの間合いの一瞬を読んでいきなり止める。これは見事だった。

ラッセルはこの日も柔らかく這うようであり、インプロの音はギターの胴体にへばりついていた。特に、弦の粘り気が活かされているように思えた。

●ジョン・ラッセル
「響きの今」(ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、ピーター・エヴァンス、秋山徹次)@両国門天ホール(2018年)
ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、すずえり、大上流一、石川高、山崎阿弥@Ftarri(2018年)
豊住芳三郎+ジョン・ラッセル『無為自然』(2013年)
ドネダ+ラッセル+ターナー『The Cigar That Talks』(2009年)
『News from the Shed 1989』(1989年)
ジョン・ラッセル+フィル・デュラン+ジョン・ブッチャー『Conceits』(1987、92年)

●豊住芳三郎
謝明諺『上善若水 As Good As Water』(JazzTokyo)(2017年)
ブロッツ&サブ@新宿ピットイン(2015年)
豊住芳三郎+ジョン・ラッセル『無為自然』(2013年)
豊住芳三郎『Sublimation』(2004年)
ポール・ラザフォード+豊住芳三郎『The Conscience』(1999年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『滄海』(1976年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『新海』、高木元輝+加古隆『パリ日本館コンサート』(1976年、74年)
豊住芳三郎+高木元輝 『もし海が壊れたら』、『藻』(1971年、75年)
富樫雅彦『風の遺した物語』(1975年)


「響きの今」(ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、ピーター・エヴァンス、秋山徹次)@両国門天ホール

2018-09-24 06:34:06 | アヴァンギャルド・ジャズ

両国門天ホールにおいて、日本ツアー中のジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、ピーター・エヴァンスがまた合流した(2018/9/22)。

John Russell (g)
Stale Liavik Solberg (ds)
Peter Evans (tp)
Tetuzi Akiyama 秋山徹次 (g)

オープニングアクトは秋山徹次。ボトルネックでひたすらに倍音を創出し続けるパフォーマンスであり、いきなりここで時間の通常の流れが分断され、朦朧とさせられる。以前のライヴにおいて、演奏が終わるのかと共演者も観客も疑いつつ、秋山さんのみがじっと動かず時間が流れたことがあった(どうやらそれは「4分33秒」であったようなのだ)。氏には、個人の裡で決めたことを覚悟をもって表現するところがある。

続いて、ラッセルとソルベルグとのデュオ。ラッセルの音は、前に観たときに比べて、一音一音をやや事件のように突出させていると思えた(デレク・ベイリーに近づくように)。それはひょっとしたら、門天ホールの内装が木で覆われており響きが消えてしまうことへの反応かもしれなかった。ソルベルグもまた、シンプルな擦れやしなりの追及よりは、お茶目にあれこれと響きを試すほうに寄っていたようである。

ピーター・エヴァンスのソロ。驚いたことに、せんがわ2018の石川高と今西紅雪とのトリオにおける演奏のように、極めて抑制された小さな音からはじめた(なお、このことは後日のエヴァンスを囲む対談でも話題になった)。そこからは、スタイルは想定内でありながら音は常に想定を超えるという彼の表現。爆発、轟き、抑制、トランペットの不連続性の解消など、あらゆるものが提示された。テンションは一貫して維持され、おそらく誰もが圧倒され、いつまで続くのかという気持とずっと続いてほしいという気持とを併せ持っていたことだろう。

そして、ラッセル、ソルベルグ、エヴァンスのトリオ。ソルベルグはあくまで柔軟かつ発散的であり極めてユニーク。エヴァンスの多彩でエネルギーに満ちた音があり、一方、ラッセルもその連続し這うようなギターのサウンドによって、エヴァンスに匹敵する存在感をみせた。秋山さんが加わっていれば別種の緊張が楔のように介入していたことだろう。それも観たかった。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●秋山徹次
高島正志+古池寿浩+秋山徹次「Blues Frozen Xīng ブルース 凍てついた星」@Ftarri(2018年)
ファビオ・ペルレッタ+ロレンツォ・バローニ+秋山徹次+すずえり@Ftarri(2017年)
池田謙+秋山徹次@東北沢OTOOTO(2017年)
『OTOOTO』(2015、17年)

●ジョン・ラッセル
ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、すずえり、大上流一、石川高、山崎阿弥@Ftarri(2018年)
豊住芳三郎+ジョン・ラッセル『無為自然』(2013年)
ドネダ+ラッセル+ターナー『The Cigar That Talks』(2009年)
『News from the Shed 1989』(1989年)
ジョン・ラッセル+フィル・デュラン+ジョン・ブッチャー『Conceits』(1987、92年)

●ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ
ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、すずえり、大上流一、石川高、山崎阿弥@Ftarri(2018年)
ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ『True Colours』(2017年)
ジョン・ブッチャー+ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ『So Beautiful, It Starts to Rain』
(2015年)
シルヴァ+ラスムセン+ソルベルグ『Free Electric Band』(2014年)
2016年の「このCD・このライヴ/コンサート」

●ピーター・エヴァンス
JAZZ ARTせんがわ2018(2018年)
ピーター・エヴァンス+ウィーゼル・ウォルター『Poisonous』(2018年)
マタナ・ロバーツ「breathe...」@Roulette(2017年)
Pulverize the Sound、ケヴィン・シェイ+ルーカス・ブロード@Trans-Pecos(2017年)
コリー・スマイス+ピーター・エヴァンス『Weatherbird』(2015年)
ピーター・エヴァンス『House Special』(2015年)
Pulverize the Sound@The Stone(2015年)
Rocket Science変形版@The Stone(2015年)
エヴァン・パーカー US Electro-Acoustic Ensemble@The Stone(2015年)
トラヴィス・ラプランテ+ピーター・エヴァンス『Secret Meeting』(2015年)
ブランカート+エヴァンス+ジェンセン+ペック『The Gauntlet of Mehen』(2015年)
エヴァン・パーカー ElectroAcoustic Septet『Seven』(2014年)
MOPDtK『Blue』(2014年)
チャン+エヴァンス+ブランカート+ウォルター『CRYPTOCRYSTALLINE』、『Pulverize the Sound』(2013、15年)
PEOPLEの3枚(-2005、-2007、-2014年)
ピーター・エヴァンス『Destiation: Void』(2013年)
ピーター・エヴァンス+アグスティ・フェルナンデス+マッツ・グスタフソン『A Quietness of Water』(2012年)
『Rocket Science』(2012年)
MOPDtK『(live)』(2012年)
ピエロ・ビットロ・ボン(Lacus Amoenus)『The Sauna Session』(2012年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Mechanical Malfunction』(2012年)

ピーター・エヴァンス+サム・プルータ+ジム・アルティエリ『sum and difference』(2011年)
ピーター・エヴァンス『Ghosts』(2011年)
エヴァン・パーカー+オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス『The Bleeding Edge』(2010年)
ピーター・エヴァンス『Live in Lisbon』(2009年)
MOPDtK『The Coimbra Concert』(2010年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Electric Fruit』(2009年)
オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス+スティーヴ・ベレスフォード『Check for Monsters』(2008年)
MOPDtK『Forty Fort』(2008-09年)