Sightsong

自縄自縛日記

ルイス・モホロ『Uplift the People』

2018-12-16 20:30:57 | アヴァンギャルド・ジャズ

ルイス・モホロ『Uplift the People』(Ogun Recording、2017年)を聴く。

Louis Moholo-Moholo (ds)
Alexander Hawkins (p)
John Edwards (b)
Jason Yarde (sax)
Shabaka Hutchings (sax)

※現在はモホロは「ルイス・モホロ・モホロ」と名乗っている

「Five Blokes」名義であり、これは、カルテットでの『4 Blokes』(Ogun Recording、2013年)のメンバーにシャバカ・ハッチングスを加えた形となっている。とは言えサウンドはかなり似ている。

もちろんロンドンのサックス奏者ふたり、ジェイソン・ヤードもハッチングスも活力を注入しており、それが増えた分、エネルギー・ミュージックとしてはその沸騰度を増している。ヤードはサウンドの内壁にへばりつくようなつるつると粘る感覚が良いし、ハッチングスの野性的な咆哮も良い。

しかし、やはりこれはルイス・モホロとジョン・エドワーズがあってこその音なのだ。モホロは短いリーチでスタミナ切れを知らずボディに重いパンチを打ち込んでいく感覚(2007年と10年の「KAIBUTSU Lives!」におけるモホロには魅せられた)。ジョン・エドワーズはあまりにも強靭な弦の響き。強いといえばアレキサンダー・ホーキンスの打ち込むピアノも印象的だ。

これがロンドンのCafe Otoでのライヴとは・・・。観たら酸欠必至だろうね。

Louis Moholo-Moholo (ds)
Alexander Hawkins (p)
John Edwards (b)
Jason Yarde (sax)

●ルイス・モホロ
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2)(2010年)
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2007年)
ルイス・モホロ+マリリン・クリスペル『Sibanye (We Are One)』(2007年)
イレーネ・シュヴァイツァーの映像(2006年)(ルイス・モホロ参加)
ルイス・モホロ+ラリー・スタビンス+キース・ティペット『TERN』(1977年)

●ジョン・エドワーズ
ユリエ・ケア3、リーマ@スーパーデラックス(2017年)
オッキュン・リー『Cheol-Kkot-Sae [Steel Flower Bird]』(2016年)
シカゴ/ロンドン・アンダーグラウンド『A Night Walking Through Mirrors』(2016年)
ジョン・ブッチャー+ジョン・エドワーズ+マーク・サンダース『Last Dream of the Morning』(2016年)
エヴァン・パーカー+ジョン・エドワーズ+クリス・コルサーノ『The Hurrah』
(2014年)
三上寛+ジョン・エドワーズ+アレックス・ニールソン『Live at Cafe Oto』(2013年)
ジョン・エドワーズ+オッキュン・リー『White Cable Black Wires』(2011年)
ロル・コクスヒル+ジョン・エドワーズ+スティーヴ・ノブル『The Early Years』(2004年)
パウル・ローフェンス+パウル・フブヴェーバー+ジョン・エドワーズ『PAPAJO』(2002年)

●アレキサンダー・ホーキンス
シカゴ/ロンドン・アンダーグラウンド『A Night Walking Through Mirrors』(2016年)
ザ・コンバージェンス・カルテット『Slow and Steady』(2011年)

●シャバカ・ハッチングス
マブタ『Welcome to This World』(2017年)
アーチー・シェップ『Tribute to John Coltrane』(2017年)


さがゆき+高田ひろ子@川崎ぴあにしも

2018-12-16 09:59:25 | アヴァンギャルド・ジャズ

川崎ぴあにしも(2018/12/15)。

Yuki Saga さがゆき (vo)
Hiroko Takada 高田ひろ子 (p)

冒頭の「I've Never Been in Love Before」。「... this is wine」のところでのさがさんのタメがあって、ピアノも嬉しそうに鳴っている。続く「Second Time for Love」では逆に高田さんのピアノが敢えてもたつき、ヴォイスがはしゃぐ。スキャットからテーマへ、さがさんの丸く突き通る声が印象的。次の曲では、囁きが想いの深みに沈んでいくようだった。「So in Love」でピアノが力強くなり、「You're My Everything」においてふたりは顔を見合わせて愉しそうにしている。スキャットが子どものようだ。

セカンドセット。「You Must Believe in Spring」に続く「All the Things You Are」では、さがさんが立ちあがって歩き回り歌う。表面が梨地なのにクラスターのように放たれる声が実に不思議。そのヴォイスの魅力は「Child Is Born」の中で心の底を低音で撫でるように変わった。「I Wish I Knew」、ノリノリのピアノに伸びる声。「My Romance」では、少女のごとく語るヴォイスにあわせて、高田さんのピアノが止まったり進んだりする。

ブロッサム・ディアリーが歌った「Try Your Wings」。流れるイントロからさがさんの口笛。「If you've never been in love」なら、「If you're hungry for the sound」なら、「try your wings」なんて、たまらない歌詞。「A first love never comes twice...」にいたり、さがさんは感極まって泣いている。一転して「All of You」での高い声。そしてクリスマスの曲をふたつ。

さがさんがしばらく歌っていないという「All of Me」では童女を思わせる幻想的なインプロ、さすがである。「Every Time We Say Goodbye」、ピアノの伴奏に乗せてさがさんがしっとりと歌う。サビでの情感も、またにこりと笑ってバトンタッチしたあとの高田さんのソロもまた素晴らしかった。セカンドセットはアンコールを含めて12曲も。

どうみても親密なデュオなのだが、その親密さがパフォーマンスの間ずっと増していった。