アンドリュー・シリル『Lebroba』(ECM、2017年)を聴く。
Andrew Cyrille (ds)
Wadada Leo Smith (tp)
Bill Frisell (g)
これは良いアルバムだ。三者の異なる個性が三者であることでそれぞれ引き立っている。
ワダダ・レオ・スミスのトランペットは常に大きな空間への拡がりを思わせる。吹くとその先にはまだ先の世界が霞とともに視えてくる感覚がある。それが結果としてアンビエントで連続的なサウンドになっているのだとすれば、ビル・フリゼールは逆に時間を止める。アメリカーナの空想的な懐かしさの姿を偽装しつつ、絶えず、時間のリセットを企んでいるようである。(だから作為的に思えて好みでないのかもしれない。)
そして、アンドリュー・シリルは時空間が拡がろうとぶつ切りにされようと関係なく、超然として、かまいたちのようなパルスを発し続ける。衰えない。これが吹き込まれたのは2017年7月で、その翌々月にシリルのプレイを観た。フリゼールと同様に浮遊的でありながらまったくタイプの違うベン・モンダーを向こうにまわし、やはり、達人なのだった。
●アンドリュー・シリル
ベン・モンダー・トリオ@Cornelia Street Cafe(2017年)
トリオ3@Village Vanguard(2015年)
アンドリュー・シリル『The Declaration of Musical Independence』(2014年)
アンドリュー・シリル+ビル・マッケンリー『Proximity』(2014年)
ビル・マッケンリー+アンドリュー・シリル@Village Vanguard(2014年)
ベン・モンダー『Amorphae』(2010、13年)
トリオ3+ジェイソン・モラン『Refraction - Breakin' Glass』(2012年)
アンドリュー・シリル『Duology』(2011年)
US FREE 『Fish Stories』(2006年)
アンドリュー・シリル+グレッグ・オズビー『Low Blue Flame』(2005年)
アンソニー・ブラクストンとアンドリュー・シリルのデュオ(2002年)
バーグマン+ブロッツマン+シリル『Exhilaration』(1996年)
ビリー・バング+サン・ラ『A Tribute to Stuff Smith』(1992年)
1987年のチャールズ・ブラッキーン(1987年)
『Andrew Cyrille Meets Brötzmann in Berlin』(1982年)
アンドリュー・シリル『Special People』(1980年)
アンドリュー・シリル+ミルフォード・グレイヴス『Dialogue of the Drums』(-1974年)
アンドリュー・シリル『What About?』(1969年)