Sightsong

自縄自縛日記

PORTA CHIUSA@本八幡cooljojo

2018-12-30 23:11:50 | アヴァンギャルド・ジャズ

本八幡のcooljojo(2018/12/29)。

Paed Conca (cl)
Hans Koch (cl)
Michael Thieke (cl)
+
Maki Hachiya 蜂谷真紀 (voice)
Nao Takeuchi 竹内直 (ts, bcl, cl)

リーダーのパエド・コンカはレバノン在住スイス人、ハンス・コッホはスイス人(アコーディオンのヨナス・コッハーと近くに住んでいるという)、ミヒャエル・ティーケはドイツ人。クラリネット3人のユニットである。ここに、かれらと共演を積み重ねてきた蜂谷真紀さん、さらにゲストの竹内直さん。音の響きが優しく良いcooljojoで横一列に座り、パエドさん作曲の譜面は見ずに演奏する形となった。

ファーストセット。各人の息遣いや微かな囁きが重ね合わされ、途切れることのないうなりを作り出す。それとともに各人固有の声が浮き彫りになってゆく、そんな発見的な面白さがある。ハンスさんが静寂の中から大胆に飛び出てきて驚くことがしばしばある。ミヒャエルさんのクラは隣人の間を埋める媒体のようだ。パエドさんは高音でも中低音でもリードを出し入れしてサウンド全体を擦った。誰かが声をあげれば他の者はドローンを形成するという、流体のごときユニットにも思える。

そして竹内さんの音は、やはり日本ジャズ的というのか、街の薄暗がりに溶け込むかれらとは異なり、エッジが四角く押し出される別の強さがあるように聴こえた。蜂谷さんは器楽的でありながら、それが人間の声であるという当たり前のことに気付かされるあり方を示した。

セカンドセットは、こんどは真ん中に座った蜂谷さんによるスポークンワード(とは言え立ったりこちら側に介入してきたりする)。それはバベルの塔にのぼろうとする裸の王様の愚かさを言葉にするものに聴こえた。周囲から棒で突くように刺激を与える管楽器。やがて各人が有象無象の民の声をあげはじめた。

雲の中で視る夢のような音楽体験だった。

(ああ、ハンスさんにサーデット・テュルキョズさんのことを聞くのを忘れていた)

Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4

●蜂谷真紀
庄田次郎トリオ@東中野セロニアス(2018年)

●竹内直
竹内直+加藤一平@セロニアス(2017年)