Sightsong

自縄自縛日記

宅Shoomy朱美+辰巳小五郎@阿佐ヶ谷Yellow Vision

2019-04-25 23:22:37 | アヴァンギャルド・ジャズ

阿佐ヶ谷のYellow Vision(2019/4/24)。

Akemi Shoomy Taku 宅Shoomy朱美(vo, key)
Kogoro Tatsumi 辰巳小五郎 (tp, iphone-g)

揺らぎながらその姿をあらわしてきたシューミーさんのサウンドは、やかましい小動物のような遊びをみせたと思ったら拡がってゆき、ビートとともにキーボード宇宙を展開する。これがハードボイルドでイケていて滅茶苦茶カッコ良い。ビートはときにガジェット的であり、ときにバロウズのショットガン・ペインティングを想像させるものであり、そのビートの隙間にベース音をぐいぐいと食い込ませてゆく様にはちょっと痺れてしまう。ときどき右手を使い、コルグのKaoss Padで遊ぶのだが、それが宇宙人が痙攣しているようで、またカッコ良い。

しかし、最初から最後まで複合的ストロングビートだけではないのだ。ヴォイスは何か記憶の奥底をまさぐられるようであり、サウンドが泡立ったまま抒情的な雰囲気に突入し「Blue in Green」を歌うときの潮目の変わりようにも驚く。

一方の辰巳さんは、最初はiphoneアプリのギターを使った。ときにアルバート・コリンズを思わせる太いブルースギターのようであり、ときにキーボード的であり、またときに宇宙遊泳するようでもある。そしてトランペットを吹くと、また別の太くて揺らぐ感覚が生まれる。駆け上がったり、ビートと並走したりして、失われた近未来、懐かしい近未来、あるいはディストピアのようだ。マウスピースを叩いて色付きのパーカッションのようにも使った。

このふたりがそれぞれ暴れたり叫んだり、意気投合したり、個人作業にいそしんだり、ともかくも並走したりして、なかなかに最高なのだった。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●宅Shoomy朱美
夢Duo『蝉時雨 Chorus of cicadas』(2017-18年)
原田依幸+宅Shoomy朱美@なってるハウス(2018年)
impro cats・acoustic@なってるハウス
(2018年)

●辰巳小五郎
【日米先鋭音楽家座談】ピーター・エヴァンスと東京ジャズミュージシャンズ(JazzTokyo)
(2018年)
青山健一展「ペタペタ」とThe Space Baa@EARTH+GALLERY
(2017年)


トム・ハレル『Infinity』

2019-04-25 07:58:58 | アヴァンギャルド・ジャズ

トム・ハレル『Infinity』(High Note、2018年)を聴く。

Tom Harrell (tp, flh)
Mark Turner (ts)
Charles Altura (g)
Ben Street (b)
Johnathan Blake (ds)
Adam Cruz (perc) (track 3)

特に変わったコンセプトや野心があるアルバムではない。

そうであろうとなかろうと、トム・ハレルの音楽は大好きだ。大きな円環のようでカラフルなアンサンブル、ここに絶妙のタイミングでひょいと入っては、雲のようなトランペットを吹く。

マーク・ターナー、チャールス・アルトゥラといった曲者も見事にトム・ハレル音楽の一員として貢献していて、これがまた嬉しい。

●トム・ハレル
トム・ハレル『Something Gold, Something Blue』(2015年)
トム・ハレル@Cotton Club(2015年)
トム・ハレル@Village Vanguard(2015年)
ジョン・イラバゴン『Behind the Sky』(2014年)
トム・ハレル『Trip』(2014年)
トム・ハレル『Colors of a Dream』(2013年)
デイヴィッド・バークマン『Live at Smalls』(2013年)
ジム・ホール(feat. トム・ハレル)『These Rooms』(1988年)