Sightsong

自縄自縛日記

ボーンシェイカー『Fake Music』

2019-04-27 15:52:04 | アヴァンギャルド・ジャズ

ボーンシェイカー『Fake Music』(SoulWhat、2017年)を聴く。

Boneshaker:
Mars Williams (reeds, toy instruments)
Paal Nilssen-Love (ds, perc)
Kent Kessler (b)

聴く前からわかっているようなものではあるが、マーズ・ウィリアムスの音の後ろにはキックする隆々たる両足があるようだ。その礎の上でよれたりブルージーになったり。ときどき「うひょー」と叫んでいるんじゃないかという音がある。

そしてポール・ニルセン・ラヴの強すぎる叩き。強いことによって、打音にグラデーションが生じている。それはマーズも同じか。

●ポール・ニルセン・ラヴ
Arashi@稲毛Candy(2019年)
ペーター・ブロッツマン+スティーヴ・スウェル+ポール・ニルセン・ラヴ『Live in Copenhagen』(2016年)
ザ・シング@稲毛Candy(2013年)
ジョー・マクフィー+ポール・ニルセン・ラヴ@稲毛Candy(2013年)
ポール・ニルセン・ラヴ+ケン・ヴァンダーマーク@新宿ピットイン(2011年)
ペーター・ブロッツマン@新宿ピットイン(2011年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Concert for Fukushima / Wels 2011』
(2011年)
ジョー・マクフィーとポール・ニルセン-ラヴとのデュオ、『明日が今日来た』(2008年)
4 Corners『Alive in Lisbon』(2007年)
ピーター・ヤンソン+ヨナス・カルハマー+ポール・ニルセン・ラヴ『Live at Glenn Miller Cafe vol.1』(2001年)
スクール・デイズ『In Our Times』(2001年)

●ケント・ケスラー
ロドリゴ・アマド『This Is Our Language』(2012年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Concert for Fukushima / Wels 2011』(2011年)
ジョー・モリス w/ DKVトリオ『deep telling』(1998年)


森重靖宗+池田陽子+増渕顕史『shade』

2019-04-27 11:57:42 | アヴァンギャルド・ジャズ

森重靖宗+池田陽子+増渕顕史『shade』(meenna、2018年)を聴く。

Yasumune Morishige 森重靖宗 (cello)
Yoko Ikeda 池田陽子 (viola)
Takashi Masubuchi 増渕顕史 (g)

弦3本の震えが並んで進み、静かに重ね合わされてゆく。静かさは演奏そのものだけでなく、各氏が音を自己の裡で抽出し、蒸留する過程についても言えそうに思える。

そして音色と切り離せないものとして、それを出す相互の間合いにすべてが賭けられているように感じられる。フタリでのライヴ、この日は行かなかったが、緊張と悦びが横溢したものであったに違いない。

●森重靖宗
森重靖宗+徳永将豪@Ftarri(2018年)

●池田陽子
鈴木ちほ+池田陽子(solo solo duo)@高円寺グッドマン(2019年)
池田陽子+山㟁直人+ダレン・ムーア、安藤暁彦@Ftarri(2018年)
佐伯美波+池田若菜+池田陽子+杉本拓+ステファン・テュット+マンフレッド・ヴェルダー『Sextet』(2017年)
クリスチャン・コビ+池田若菜+杉本拓+池田陽子『ATTA!』(2017年)

●増渕顕史
齊藤僚太+ヨシュア・ヴァイツェル+増渕顕史@Permian(2018年)
Zhu Wenbo、Zhao Cong、浦裕幸、石原雄治、竹下勇馬、増渕顕史、徳永将豪@Ftarri(2018年)
クレイグ・ペデルセン+エリザベス・ミラー+徳永将豪+増渕顕史+中村ゆい@Ftarri(2017年)
杉本拓+増渕顕史@東北沢OTOOTO(2017年)
Spontaneous Ensemble vol.7@東北沢OTOOTO(2017年)
『OTOOTO』(2015、17年)


ジェレミー・ペルト『Jeremy Pelt The Artist』

2019-04-27 10:55:51 | アヴァンギャルド・ジャズ

ジェレミー・ペルト『Jeremy Pelt The Artist』(High Note、2018年)を聴く。

Jeremy Pelt (to, effects)
Voctor Gould (p, Rhodes)
Vicente Archer (b)
Allan Mednard (ds)
Ismel Wignall (perc)
Chien Chien Lu (vib, marimba)
Alex Wintz (g)
Frank Locrasto (Rhodes, effects)

それぞれの楽器がクールに入り重なっていて、またダークで力のあるジェレミー・ペルトのトランペットは相変わらず良い音。

ではあるのだが、さほど突出したところもない。ライヴで観るなら印象深いのだろうけれど。

●ジェレミー・ペルト
ウェイン・エスコフェリー『Vortex』(-2018年)
ジェレミー・ペルト『Noir en Rouge / Live in Paris』(2017年)
ジェレミー・ペルト『Make Noise!』(2016年)
ジェレミー・ペルト『#Jiveculture』(2015年)
ブラック・アート・ジャズ・コレクティヴ『Presented by the Side Door Jazz Club』(2014年)
ジェレミー・ペルト『Tales, Musings and other Reveries』(2014年)
ジェレミー・ペルト@SMOKE(2014年)
ジャズ・インコーポレイテッド『Live at Smalls』(2010年)
ジェレミー・ペルト『Men of Honor』(2009年)
ルイ・ヘイズ『Dreamin' of Cannonball』(2001年)


二二八国家記念館、台北市立美術館、順益台湾原住民博物館、湿地、朋丁、關渡美術館(、当代芸術館)

2019-04-27 09:45:27 | 中国・台湾

台北にいる間に、いくつか美術館・博物館を覗いた。

■ 二二八国家記念館

1947年2月28日の二二八事件について展示がなされている。中国本土からの外省人による白色テロであり、かつての国家権力による汚点を自ら晒すことは日本にはない。

事件と直接の関係はないものの、日本による植民地支配も多く展示されており、皇民化教育のひどさが迫ってくる。高砂族を特攻隊として死なせたことなど日本ではあまり知られていない。

また、事件の犠牲者たちが名前と肖像写真とともに並べられているのだが、写真が無い者も多い(おそらくは名前がわからない者も)。記憶の継承は容易ではない。

帰国してから気が付いたのだが、二二八和平公園内に台北二二八和平紀念館という別の場所がある。今度はぜひ行ってみなければ。

■ 台北市立美術館

ふたつの展示。

于彭(Yu Peng)は台北生まれのアーティストであり既に故人。水墨画や版画を多く手掛けている。はじめは散漫にも思えて流すように観ていたのだが、ふと、その情報過多の世界がロシア・アヴァンギャルドのフィローノフにも共通する無限のミクロコスモスに視えてきた。

「Musica Mobile」は音楽のさまざまなあり方を提示する企画展。手を叩くと反応して光を放ちながら笑うスマホの森(Stephane Borrelらによる「Smartland Divertimento」)など面白かった(>> 動画)。スマホ用アプリもあるのでヒマな方はどうぞ。

なかでもとりわけ素晴らしいなと思った展示は、李明維(リー・ミンウェイ、Lee Mingwei)による「四重奏計画」である。暗い部屋の中に4つの衝立があり、それぞれの向こうがぼんやりと光って、弦楽器を奏でている。視えない存在と音楽という観点に奇妙に動かされた。

■ 順益台湾原住民博物館

先住民族(台湾では原住民と呼ぶ)についての博物館。小さいながらなかなか充実していて勉強になる(図録も買った)。

楽器の展示場所で流れるようになっている。なかでもタイヤル族のロボ(口琴)は弾く板が複数あり、かなり巧妙に作られていた。また鼻笛というものもあった。

博物館前の公園には、先住民族たちの彫像(石板)があった。

■ 湿地

ちょうど市内のいくつかのギャラリーが連動した写真展をやっていて、そのひとつ。風呂に乱暴に写真が置いてあったりと工夫が凝らされている。もっとも、若い人たちの意欲以上のものではなかったが。

■ 朋丁

1階が本屋とカフェ、2階と3階が展示室。デイヴィッド・シュリグリー(David Shrigley)のシニカルな作品はいちいち笑える。

■ 關渡美術館(KdMofa)

大学の敷地内にある美術館。いくつも小さい展示があった。なかでも「On Demand」展は楽しめた。アーカイヴから複数の映像が壁に映写されており、また、PCでは、文字通りオンデマンドで映画を観ることができるようになっている。ヴィム・ヴェンダース『東京画』があり、つい最後まで観てしまった。

■ 当代芸術館(MOCA Taipei)

現代美術をこそ観たかったのだが、ちょうと工事中だった。残念。