「表現の不自由展」がようやく東京でも開かれ、初日に国立まで足を運んだ。
とはいえ政治的な文脈でのみ語られるのは社会にとっても作家にとっても不幸なことにちがいない。10年前の2012年に安世鴻の写真展が中止された事件があって、地裁と高裁の命令により、ニコンサロンはその写真展を不承不承開いた。そのときも物々しい警備だったが、今回はさらに大袈裟な騒ぎ。
ともかくも安世鴻の作品をふたたび観ることができた。韓紙に焼き付けられ、やはりたいへんな力がある。
丸木夫妻の《ピカドン》も発見。連作《原爆の図》の前にこのような絵本があったとは。
●安世鴻
安世鴻『重重 中国に残された朝鮮人元日本軍「慰安婦」の女性たち』
安世鴻『重重 中国に残された朝鮮人元日本軍「慰安婦」の女性たち』第2弾、安世鴻×鄭南求×李康澤
新藤健一編『検証・ニコン慰安婦写真展中止事件』