過去に書いた気がするが、両親とくに母親が著者のファンで家に何冊もあったため、中学生の頃から著者の作品は読んでいた。「青年は荒野をめざす」に始まり「青春の門」そして随筆と、かなりの作品を読んだのではないか。
本書を読みながら、きっと事前の情報なしで本文だけ読むことになっても著者を言い当てることができるのではないか、そんな印象を持った。舞台は新横浜駅近くの高台にある精神病院。赴任したてのモラトリアムちっくな新米医師が、特に事情のある患者や理想に燃え清貧に甘んじる院長以下のスタッフと過ごしてゆく中で見出す様々なことを描く。なんでそれが凍った河なのか。
読んでいて時代を感じさせる。昔の物語だなと思う。背景描写もそうだが、会話の口調、使われる言葉、人々の感覚や理屈。すべてが今とは異なると言って良い。そんな中で人の愛だけが変わらない…そう言えれば美しいのだが、どうだろうか。
ちなみに主人公は何となくボーっとした人物に描かれているが、バイクに対しては熱いものを持っている。BSAなんてこれまたマニアックな。先の感想で車種(と言うよりエンジン選定?)について書いたが、本書ではBSAと言うマニアックな車種をチョイスしたというだけで(少なくとも知っている人には)主人公が単に流されるだけの人間ではないと暗喩しているように思えた。ま、ハーレーじゃオールドモデルでも自己顕示欲の塊にしか映らなそうだし、最新のスーパースポーツ乗った新人ドクターってのも何だかなぁって思うし。
2017年2月8日 羽田空港へ向かうモノレール車中にて読了
本書を読みながら、きっと事前の情報なしで本文だけ読むことになっても著者を言い当てることができるのではないか、そんな印象を持った。舞台は新横浜駅近くの高台にある精神病院。赴任したてのモラトリアムちっくな新米医師が、特に事情のある患者や理想に燃え清貧に甘んじる院長以下のスタッフと過ごしてゆく中で見出す様々なことを描く。なんでそれが凍った河なのか。
読んでいて時代を感じさせる。昔の物語だなと思う。背景描写もそうだが、会話の口調、使われる言葉、人々の感覚や理屈。すべてが今とは異なると言って良い。そんな中で人の愛だけが変わらない…そう言えれば美しいのだが、どうだろうか。
ちなみに主人公は何となくボーっとした人物に描かれているが、バイクに対しては熱いものを持っている。BSAなんてこれまたマニアックな。先の感想で車種(と言うよりエンジン選定?)について書いたが、本書ではBSAと言うマニアックな車種をチョイスしたというだけで(少なくとも知っている人には)主人公が単に流されるだけの人間ではないと暗喩しているように思えた。ま、ハーレーじゃオールドモデルでも自己顕示欲の塊にしか映らなそうだし、最新のスーパースポーツ乗った新人ドクターってのも何だかなぁって思うし。
2017年2月8日 羽田空港へ向かうモノレール車中にて読了