ホームレスに関する本を何冊も読んでいるが、やはり書かれた時期(=著者が取材した時期)により、暮らし方や各種支援の形態・内容が変わっていることが判る。一方で、ホームレスに至った境遇はどうか。
本書で取材されたホームレスの姿は、類似書に比べユニークであるように思う。経緯はともかく、生き方が自由人的と言うのか、単に住むところ食べるものがなく底辺生活にあえいでいるというのでなく、敢えてホームレス生活をし、その中でも周囲の人間と関わって人々をまとめたり、文化的活動をして展覧会を開く夢を持っていたり。なので、本書からは惨めさより逞しさが伝わってくる。
もちろん現実にはそう格好いいばかりでなく、やはり生活には不自由したり暑さ寒さや病が身に堪えたりしているはずだ。そこを描かないのは、ちょっと卑怯な気もするし、前向きな部分だけ伝えようという著者の意思かもしれないのだけど。
近年とくにCovid-19以降に増えているという若年層ホームレスでも、同じように前向きに生きられている人がいるのだろうか。どうも報道からはネガティヴイメージしか伝わってこない。(でもそれが普通なのかもしれない)
2023年6月18日 自宅にて読了