あまりアクティブに活動するなと医者から言われたので、市内ウォークにも行かず映画をハシゴすることにした。前のと同じ劇場、同じ席。
断捨離は、もう数年前から強く意識している。それなりにモノを処分してはいるが、やってもやっても処分する物が出てくる状況。とは言え、多趣味な割に人様よりモノは少ないのではないか。ましてゴミ屋敷や汚部屋などあり得ない。なので、そういう環境に至る人、住む人の心境は理解できない。大抵は何か人生の大きなトラブルがあって、セルフネグレクトに陥るようなのだけれど。
本作は、ピアニストの夢に挫折した青年が入社した「断捨離屋」いわゆる片付け業者の作業事例として、オムニバス形式で綴っている。汚部屋&ゴミ屋敷の住人を悪と決めつけない、事情を描く優しさが制作者の意図か。きっと「好きでこうなったわけではない」と言う点を観客に理解して欲しいのではないか。とは言え近隣住人に全く影響を与えない汚部屋&ゴミ屋敷などないだろう。だとすれば、「たとえどのような事情があろうとも」と思われてしまうのではないか。もっとも制作者は、そういう状況であり続けて良いとは描いていないし、理解や許しを求めてもいない。
やはり片付いた後の出演者は、一様にすっきりした、明るいと言うか吹っ切れた表情である演技をしている。そういう演出をすると言うことはやはり、汚部屋&ゴミ屋敷は良くありませんよ、積極的に断捨離しましょうと制作者は訴えたいのではないか。それを主人公らしき青年に明確に語らせなかったのは良かったと思うが、一方ケースごとに登場する彼の成長ぶりの描き方は少し物足りないかなとも思った。抑制が効いて良いと評すべきか。
さ、来月もまた、細々とモノを処分しよう。
2023年6月30日 川崎・チネチッタにて