週末を挟んで友人一家と都内を歩き回ったので、今日は自宅で静養。ダラダラしていたが一念発起、「あゝ野麦峠」の著者による本書を一気に読んだ。それだけの面白さがある。
岐阜の高山は、豪華絢爛な山車が練り歩く高山祭で知られる。その祭の起源と背景に始まり、豪奢な山車を発注する人々、造る人々、祭の日を頂点とした高山の人々の暮らしなど、高山祭を軸に、周辺地域の民俗史と言える内容が次々に現れ、一気に読み切ってしまった。
力をつける商人たちと、貧困から抜け出せない周辺の農民たちとの格差拡大。不満というガス抜きと慰労の両方の意味を持ったのが祭というのは、おそらく全国各地で見られた構図。高山は、そこに豪華な山車があった。なぜ高山にあって他所にはあまり見られないのか。そこは京都との繋がりや、江戸からの流入者の存在など、必然と偶然とが絡み合った高山ならではのものなのだろう。
こういう本を読むと、実際に祭りの雰囲気を味わい、山車の仔細を見学したくなる。
2023年8月23日 自宅にて読了