ショッキングなタイトルに驚くが、「残酷」と言っても、残忍な行為や猟奇的犯罪などを扱ったものではない。だが考えようによっては、そうした行為よりも酷いかもしれないのが、かつての日本の、名もなき人々の生活。農民、漁民、工場労働者、けっきょくはホワイトカラー以外すべてか?そうした市井の人々の暮らしを集めた「日本残酷物語」の解説本。
本書と「日本残酷物語」のどちらを先に読むか迷った結果、本書を読んでアウトラインを掴んでから大著に手を付ける方が良かろうと判断したのだが、本書を読んだ感想はその通りではないかと思えた。どういう人々が、どういう意図で、どういう段取りで大著をものにしていったかを知ることができる。
ただし、本書を読んで「日本残酷物語」を理解したと思うのは早計に違いない。前提を理解すれば、大著の理解も深まろう。秋の読書シーズンの課題としたい。
2023年9月10日 UO642便(香港→高松)機中にて読了
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