むかし日本ユースホステル協会が会員向けに発行している「ユースホステルしんぶん」と言うのがあって、それには毎号、全国のユースホステルを利用して歩ける周囲のモデルコースが絵地図入りで連載されていた。観光名所や歴史ポイントを回るだけでなく、景色の良い道やビューポイントなどを巧みに取り入れた記事で、毎号切り抜いてスクラップブックに貼り付けていた。その連載を書いていたのが本書の著者、愛称「やまさん」であった。
ハイキングでもなくウォーキングでもなく、観光でもない。既存のコースを否定とまでは言わないが、それらとは一線を画す「歩く旅」を提唱する著者。それがどういうことか、具体的にはどうやるのか、細々と書かれている。
【歩く旅の達人歩行術10か条】
第一条:企画力
第二条:読図力
第三条:単独力
第四条:歩行力
第五条:管理力
第六条:記録力
第七条:会話力
第八条:見聞力
第九条:踏破力
第十条:脱出力
と言うことで、歩く旅でなくとも、個人旅行者であれば身に付けたいスキルなのではと思った。自分はどれほどできているだろうか。
ところで本書では作者のこだわりと言うか、既存の「歩き」への強烈なアンチテーゼみたいなものを感じた。著者と実際に会った方によると、やはり強烈な個性を持った方のようである。著者のこだわりと、歩く旅の普及が今はいかばかりか、気になる。日本では、難しいだろうなあ。
2024年12月3日 自宅にて読了
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