別名チモシー。牧草として普通に栽培されています。そして、高原の至る所に生えているのですが、この株のようにもうすっかり日本の環境に溶け込んで違和感を感じさせない存在になっているものさえあります。長い目で見ればいずれ帰化種は日本の環境に慣れ落ち着いてくると期待されます。その時に、在来種がちゃんと共存できるようになっていればそれほど目くじらをたてることはないと思います。しかし、現実は在来種が減少して危機的な状態になっているといわれますから、当面は危険な種の排除は積極的に行う必要はあるのでしょう。
長いものも苦手意識もあってあまり触りたくない分野です。しかし、湿原環境で出てこない方がおかしいはずですね。とくにこのオニナルコスゲは全国的に分布しているとされますが、貴重種で絶滅が危惧されている場所もあるくらいの重要なものと聞いています。菅平湿原の一角に決して広いとは言えないかもしれませんがまずまずの個体群があり、今後も大切にしていかなければならない場所です。頂部の雄花穂は非常に細長く、雌花穂は太く短く数も少ないようです。「ナルコスゲ」といいながら良く見るナルコスゲとはまるで別物ですね。
オニナルコスゲと並んで繁茂しているのがカサスゲです。湿地にはごく普通の種で至る所にあります。頂部は雄花穂で雌花穂は垂れることはなくほぼ直立しています。他のスゲに比べ葉は広めです。細工するのに適していのでしょう、この葉をもとに菅笠などを作ったことからの名づけであることは容易に理解されます。
オニナルコスゲの群落がある近くに一塊のトリカブトが茂っていました。葉の切れ込みが大きく葉片はとても細く今まで見たことのないトリカブトです。花はなく葉だけの話ですが、ホソバトリカブトという種があるそうですのでこれがそれに該当するのかなぁといった感想です。トリカブトは変異が多い種とされさまざまに分類されています。詳細を理解してはいませんし、あいにく資料も持ち合わせていませんから今回は消化不良の状態でとどめておきました。
高原の6月初旬、花が終わったものもあればこれからのものもあります。つぼみの状態の草木も多くあって、これも一つの大切なステージ。つぼみの時期もしっかり観察することも必要なことだと思います。
カンボクです。中下旬には真っ白な素晴らしい花をつける低木ですが、ようやく小さな球状のつぼみが広がり始めてそれぞれの花の位置に付こうとしています。この季節は全体に柔らかいはずですが食害する昆虫はまだ見られ無いようで、どれもみずみずしく新鮮です。カンボクは湿地環境が好きなスイカズラ科の種で比較的高原地域を中心に生育しています。晩秋の真っ赤な実もとてもいいもので、花と実、年に二度も楽しませてくれる私の好きなものの一つです。
カンボクです。中下旬には真っ白な素晴らしい花をつける低木ですが、ようやく小さな球状のつぼみが広がり始めてそれぞれの花の位置に付こうとしています。この季節は全体に柔らかいはずですが食害する昆虫はまだ見られ無いようで、どれもみずみずしく新鮮です。カンボクは湿地環境が好きなスイカズラ科の種で比較的高原地域を中心に生育しています。晩秋の真っ赤な実もとてもいいもので、花と実、年に二度も楽しませてくれる私の好きなものの一つです。
灌木が生える場所近く、よく似た木が同じようなつぼみをつけていました。「カラコギカエデ」という名票がつけてありましたから、悩まずにはすんだもののなかなかお目にかかれないこともあってしばし立ちつくしました。根元はジュクジュクではないにしても元湿地です。カエデの仲間は概して尾根や水はけがよさそうな場所を好むのではという思い込みはどうやら訂正しなければならないようです。葉は三裂していてカンボクと似ています。しかし質感が異なりますから言葉では表現しにくいものの「見ればわかる」のです。一見同じようなつぼみの様子ですが、良く見るとそのつぶつぶの配置が違っていますね。
この冬はキハダの実が沢山残っていると鳥の専門家であるFさんが話をしていて、雪が降った先月野鳥観察にいったおりこのキハダの実をついばむ小鳥が目につくというようなことをおっしゃっていました。あんな刺激味のある実を好む鳥もいるのかと聞いていましたが、その実も最初はこんなつぼみからはじまります。葉と一緒に展開し始めた時期の様子です。適湿の土壌に変化した森の中に自生していました。
茎の節から花が輪になって付いている姿が劇場で舞う踊り子の姿に見えたのでしょうか。なかなかの命名で特徴を言い表している気がします。人里近いところで見かけるものの越後では長岡近辺(中越地区)では出会ったことがない花です。ですから私にとってはあまりなじみがない花で、ときどき新潟地域や弥彦あたりにいくと普通にあるのが不思議な気がします。この種も阿賀野川沿いには普通にあるのに、信濃川沿いや上越地区にはないか稀な種で、分布上興味深いものがありますね。日本の固有種で全国的に分布するとはいっても、細かく見てみると種の広がりには多く謎が隠れているようです。
ウコギは数年前に話題になった大河ドラマの直江兼続との関係で取り上げられます。山菜として定番のウコギ、越後の魚沼の地ではウコギを微塵に切ってまぶした「ウコギごはん」のことを「兼続めし」というのだそうです。ウコギは棘もあって垣根にすると侵入者を防ぐ効果がありそうで、兼続がウコギを垣根にすることを奨励したとか。そして、その若葉が山菜として利用できますから飢饉の時は一役買えるかもしれません。質素倹約にも合っていそうなウコギですからそれを身近において活用した名君として言い伝えられているようです。このウコギ、実際はヤマウコギという種ですが、目の前にあるものはかなり大型の葉で毛深い姿です。あいにく花がないのが残念でした。この種は奥山の湿地環境で見かけます。味はどうなのでしょうか?葉をちぎって匂いを嗅げばよかったと、少々後悔しています。
やや田んぼの土手みたいな土質の場所に葉を広げているのはヒメザゼンソウです。ウバユリとすごく似ている葉ですが、醸し出す雰囲気が違います。と言っても納得してもらえないとは思いますが・・・。ザゼンソウの花は早春に咲いてそれから葉が展開します。ヒメザゼンソウは花より先に葉が展開し、花が咲きだす頃には葉がなくなっている場合もあって、花にはほとんどの人は気づきません。ましてや花の季節は7月ころですから他の草が生い茂ってくるとますます分からなくなります。そういうこともあるのですが、久しくこの花を観察できずじまいですね。花のある頃にまた来たいものだと思いました。小さく可愛いらしいザゼンソウなのです。
どこにでもあるというものではありませんが最近出先で目にする種です。タカトウダイ。私のいる里山では見かけませんが、少し奥の山間などで観察しています。背の高いトウダイグサというところでしょうか。花のつくりがユニークなのでトウダイグサ科の種は注目していて、同行者がある場合には積極的に観察させます。それを除けばいたって地味な存在ですね。しかし、有毒植物で折れば白い乳液が出たりしますから個性の強い種だと思います。
杯状花序といわれる構造で、基本的には雄花と雌花が同居している花序ということになっています。先端が5裂している柱頭をもつ外に飛び出している丸い構造が雌花、その付け根には雄花があるはずですがこの絵ではわかりにくいですね。白っぽいものが雄花でしょうか。その外側に唇状の4つの構造は腺体といわれるものです。花弁ではありません。などと話をしてみたものの、不思議な構造をしている花で同じ科でもまだまだ変形したものがあるようで分かったような分からないグループです。
もう6月でしたが菅平はまだ春の終わりなのでしょうか、ネコノメソウの淡い緑色の色彩が残っていて湿り気の多い木陰に一塊の群落がありました。早春の花というイメージが強い草本ですから、季節の進みが遅い場所ということがわかります。ネコノメソウは数m範囲の群落は良く出現しますが、それ以上の大群落となると見たことがありません。私がいる丘陵公園の里山フィールドミュージアムにも群落は出現するのですが、毎年消長があって100m2以上の群落にはりません。適応できそうなそれだけのスペースはあるのですが・・。何が原因するのか?目下その要因を探しています。