アルゴ
2012年/アメリカ
精巧なイメージと演出のギャップについて
総合 70点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
主人公のトニー・メンデスは息子と電話をしている最中に、偶然テレビで放映されていた『最後の猿の惑星』(J・リー・トンプソン監督 1973年)からヒントを得て、偽映画『アルゴ』による人質奪還作戦を立てる。『アルゴ』とイランのつながりは、イランの街並みがサイエンス・ファンタジーの『アルゴ』に相応しいためであるのだが、トニーの視線が『最後の猿の惑星』のリサに注がれていたために、トニーは友人で特殊メイクの第一人者であるジョン・チェンバースに頼んで、6人の大使館員に正体がバレない程度に特殊メイクをさせて脱出させる計画なのかと観客に勘違いさせるために、一段階難易度が下がった作戦にがっかりしてしまう。
一度中止になったトニーの作戦は、トニーの独断で決行されることになり、慌てた上司のオドネルはカーター大統領に連絡を取って承認をもらい、取り消されていた航空券予約もギリギリに復活させる。他方、部下にはトニーの作戦が続行することになったことを大物プロデューサーのレスター・シーゲルの事務所に電話で伝えようとするが、誰も電話に出ない。同じ頃、飛行機に乗ろうとしていたトニーたちは飛行場でイラン兵士たちに足留めを食らっていた。トニーたちの入国目的を一通り聞いたイラン兵のリーダーがトニーに渡された事務所の名刺に書かれている電話番号に電話をしてみる。このシーンではレスターとジョンが、撮影本番中によって足留めを食らい、なかなか事務所にたどり着けないというサスペンスが施されているのであるが、ここでは誰もいない事務所で、鳴っていた電話が鳴り止むというワンシーンを挿入すれば、もっと効果的だったように思う。もちろんその電話の主はオドネルの部下である。
イメージの忠実な再現は高く評価されるべきではあるが、実話がベースになっているためにストーリーに説得力を加味出来るものの、実話が無ければ監督の凡庸な演出力がさぞ目立ったことだろう。
「海猿」続編なし 原作者怒りのツイート(日刊スポーツ) - goo ニュース
『海猿』の原作者に、「フジテレビさんは信頼に値しない企業であると判断したため、今後は
一切新規の取引はしないことにしました。なので、例えば映画『海猿』の続編などは絶対に
ありません」とツイートされるフジテレビはそれほどのことをしでかしたということだろう。
『海猿』シリーズはそれなりにヒットしているわけだから、多少のことならば大目に見て
もらえていただろうし、「続編などは絶対ない」と断言した原作者の方もかなりの覚悟を
持っているはずである。だから私が見たかった、伊藤英明が演じる仙崎が「悪の教典」を
片手に艦内の“バディ”たちを次々とライフルで射殺していくという続編は見られなくなった。