MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『永遠の0』

2013-12-21 22:24:13 | goo映画レビュー

原題:『永遠の0』
監督:山崎貴
脚本:山崎貴/林民夫
出演:岡田准一/三浦春馬/井上真央/吹石一恵/風吹ジュン/夏八木勲/橋爪功
2013年/日本

「三丁目の夕日」や「永遠」などのノスタルジーで隠される「悪夢」

 涙を誘う物語として観るならば、それなりに良く出来ているとは思うが、例えば、特攻決行の当日において、宮部久蔵が大石賢一郎に、大石が操縦することになっていた二一型の零戦と自分が操縦することになっていた五一型の零戦を交換して欲しいと頼む。五一型の方が最新式であるのだが、乗り慣れているということで、大石は応じるのであるが、飛び立って間もなく、大石が操縦していた五一型の零戦はエンジントラブルを起こして近辺の島に不時着するが、宮部の操縦していた二一型の零戦はアメリカ海軍の航空母艦に突っ込んで宮部は帰らぬ人となる。どうやら宮部は自分が操縦することになっていた五一型の零戦の調子が悪いことに気づいていたようで、だから大石に妻の松乃を託す手紙を書き残していったとは思うが、必ずしもエンジントラブルの零戦が不時着するとは限らず、寧ろ相手に攻撃されやすかったり、海に突っ込んで破損したりして大石の身の危険の方が大きいはずで、宮部の判断が正しいとは思えないのである。この、自分に都合の良い「理想主義」が無謀な戦争を引き起こした原因ではなかったのか?
 大石賢一郎が、佐伯健太郎や佐伯慶子が宮部に関して調べて自分自身にたどり着くまで、この話を2人にしていなかった理由がよく分からなかったが、ラストシーンにおいてアメリカの航空母艦に零戦ごと体当たりする宮部の顔の表情は微妙で、あそこで見せる「してやったり顔」のヒロイズムが戦争を美化しているとして、宮崎駿監督が何よりも嫌うものなのであろう。
 なお特攻隊に関する作品ならば『月光の夏』(神山征二郎監督 1993年)を勧める。帰還特攻隊員の収容施設「振武寮」が描かれているからである。要するに特攻隊はヒロイズムとして描けるほど単純なものではないのである。


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射殺のやり方と犯人像

2013-12-21 21:36:38 | Weblog

北九州の射殺犯人、証拠隠滅で逃走車両燃やす?(読売新聞) - goo ニュース
王将社長射殺 識者「ヒットマンの可能性」「暴力団ならリスク大きすぎ」(産経新聞) - goo ニュース
六本木襲撃事件、石元被告に懲役22年求刑 関東連合元リーダー「最も大きな影響」(産経新聞) - goo ニュース

 「暗殺」の定義というものが存在するのかどうか寡聞にして知らないが、イメージとしては

20日の朝に、北九州市漁業協同組合の組合長が銃殺されたように、近隣住民らが

複数回の発砲音を聞いたり、現場から走り去る銀色っぽい軽乗用車を目撃したり、または

逃走に使った車を証拠隠滅のために燃やしたりするような多少荒っぽい物だが、

「餃子(ギョーザ)の王将」を展開する王将フードサービスの大東隆行前社長が本社前の

駐車場で射殺された事件はその銃声を聞いた住民がいない上、車の助手席の段ボールや

トランクには封筒などに入った合計百数十万円が残されたままで、明らかに

プロフェッショナルな殺し屋ではあるのだろうが、社長本人の人柄と怨恨がなかなか

結びつきにくく、だからと言って「ヒットマン」が殺す相手を間違えるわけもないだろうから、

謎は深まるばかりである。


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