原題:『Nine Lives』
監督:バリー・ソネンフェルド
脚本:グウィン・ルーリー/マット・R・アレン/ケイレブ・ウィルソン/ダニエル・アントニアッツィ/
ベン・シフリン
撮影:カール・ウォルター・リンデンローブ
出演:ケヴィン・スペイシー/ジェニファー・ガーナー/マリーナ・ワイズマン/ロビー・アメル
2016年/フランス・中国
ネコとイヌの「声」の違いについて
明らかに邦題は誤解を招く。『メン・イン・ブラック』シリーズを手掛けた監督の作品ということで邦題はその便乗で、昨今の日本のネコブームにも乗っかったネイミングなのであるが、制作費が一桁違うしストーリーの規模も違う。そもそもハリウッド映画でさえない。原題の「ナイン・ライブズ(Nine Lives)」は「A cat has nine lives.(ネコには9つの命がある。)」という言葉から取られた「危機を脱する能力、サバイバル能力」という意味である。主人公でワーカホリックの社長のトム・ブランドが猫に「身をやつした」ことをきっかけに信用できる人間とそうでない人間を見つけ出すというストーリーは決して目新しいものではなく、親子で観賞する類の作品であろう。
そのネコの声を担っているのはベテラン俳優のケヴィン・スペイシーなのであるが、日本で言うところのCMで長い間犬の声を担っている北大路欣也である。映画とCMのアテレコという違いはあるし、北大路は「ネタ」と割り切って演じているために比較するのは酷なのかもしれないが、緩急を使い分けるスペイシーの声を聞いていると、これこそ「本物」なのではないかと感じてしまう。