原題:『Eye in the Sky』
監督:ギャヴィン・フッド
脚本:ガイ・ヒバート
撮影:ハリス・ザンバーラウコス
出演:ヘレン・ミレン/アラン・リックマン/アーロン・ポール/バーカッド・アブディ/イアン・グレン
2016年/イギリス
「眼光」の鋭さが報われない原因について
ドローンを使用した戦争映画としては『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』(アンドリュー・ニコル監督 2014年)が既に存在するが、その主人公であるトミー・イーガン少佐が最後に上司の命令に背いたことに対して、本作においてドローンを操縦している新人パイロットのスティーブ・ワッツが最後まで命令に忠実だったことはアメリカ映画とイギリス映画の違いというものが意外と大きいような気がする。
スティーブは攻撃命令が出される前に、攻撃範囲内の家に住む少女のアリアがフラフープで遊んでいる姿を見ており、ヨーロッパ文化に馴染んでいる少女を犠牲にしたくないという思いが一層強くなっていた。だからドローンのみならず、鳥型や虫型の超小型無人飛行カメラを駆使して民間人の犠牲を防ごうとするにも関わらず、用心すればするほど必ず敵のそばに無垢な者を見つけてしまい、敵と同じくらいの情報量を収集してしまうというアイロニーが効いているし、そんな細かいことに全く関心を示さないアメリカの国務長官が人権問題を抱える中国の北京でピンポンに興じているシーンも皮肉であろう。
最後まで緊迫感が途切れることもなく、エンターテイメントとして素晴らしい出来なのであるが、残念なことにどうしても避けられないバッドエンディングは覚悟しなければならない。