原題:『Mon inconnue』 英題:『Love at Second Sight』
監督:ユーゴ・ジェラン
脚本:ユーゴ・ジェラン/イゴール・ゴーツマン/ベンジャミン・ペアレント
撮影:ニコラ・マサール
出演:フランソワ・シビル/ジョセフィーヌ・ジャピ/バンジャマン・ラヴェルネ/エディット・スコブ
2019年/フランス
ラストのオチが甘すぎた佳作について
主人公のラファエル・ラミスとオリヴィア・マリグニーは学生時代にラファエルが書いたSF小説『ゾルタンとシャドー(Zoltan & Shadow)』をきっかけに交際するようになり、そのまま結婚し、10年後、ラファエルのその小説はベストセラーとなり続編も書かれて映画化の話も進んでいるのだが、オリヴィアの方は学校の音楽の先生に甘んじている。
ところが小説の最後をシャドーの死で終わらせたことで、翌日、ラファエルの人生は一変してしまい、2人は結婚しないままラファエル本人が学校の国語の先生に甘んじ、オリヴィアは有名なピアニストとして活躍しているのである。
当初は自身がパラレルワールドに迷い込んでしまった原因が分からなかったのだが、自分の小説のラストシーンに原因があったことが分かったラファエルは一晩で小説を書き換えてコンサート前のオリヴィアに渡して読んでもらうのである。
しかし素晴らしいピアノを弾くオリヴィアを客席で見ている内に、元の世界に戻るとこれほど素晴らしい演奏をするオリヴィアが普通の音楽教師に戻ってしまうことに耐えられなくなったラファエルはコンサート中にオリヴィアの楽屋に忍び込んで自分の小説を持って帰ってしまうのである。
ところがミュージックホールの出口から一人で出てくるラファエルが原稿をゴミ箱に捨てて帰ろうとする後をオリヴィアが追いかけてきてハッピーエンドになるのであるが、これは間違っていると思う。何故ならばラファエルがパラレルワールドに迷い込んでしまった原因は小説の展開の問題であって、小説の内容が問題なのではないからで、まるでオリヴィアが小説を読んで感動したことが元の鞘に収まる原因のように見えてしまうのである。
ラブコメを軸にSFシーンやオリヴィアが弾くリストやシューベルトなど硬軟を織り交ぜているところは素晴らしいのだが、ラストのオチが甘いと思う。
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