MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』

2021-07-01 00:54:08 | goo映画レビュー

原題:『A Quiet Place : Part II』
監督:ジョン・クラシンスキー
脚本:ジョン・クラシンスキー
撮影:ポリー・モーガン
出演:エミリー・ブラント/ミリセント・シモンズ/ノア・ジュープ/ジャイモン・フンス―
2020年/アメリカ

起死回生の「ポンコツ映画」について

 観客からも批評家からも絶賛された前作が「ポンコツ映画」だったという事実は既に書いてしまったので繰り返さないし、当然のことながらその続編である本作は監督も同じだから期待せずに観に行ったのだが、こんなことがあるのだろうかと思うくらいに良作であることに驚いた。
 前作で問題となっていた音の感度の緩さが本作においては登場人物がしっかり怪物に聞かれないレベルで行動しており、90分強の上映時間を緊張でみなぎらせることに成功しているように思う。その成功の要因は本作が続編であるということも関係しているのかもしれない。前作は物語を作り上げなければならない都合による説明が「うるさい」原因を作っていたようで、その点、本作は既に大まかなストーリーは観客に共有されているために最小限の会話で成立できたのである。

 ところで本作の肝となるのはラジオから流れてくるボビー・ダーリンの「ビヨンド・ザ・シー」(1960年)を和訳してみたいのだが、この曲は元々はフランスの歌手のシャルル・トレネが歌う「ラ・メール」(1946年)のカヴァーである。トレネが曲を完成させたのは彼が30歳の時なのだが、歌詞は彼が16歳の時に書いたものらしい。そういうレベルの歌詞ではある。

「Beyond the Sea」 Bobby Darin 日本語訳

海の向こうのどこか
どこかで僕を待っている僕の恋人は
黄金の砂浜の上に立ち
出航しだす船の集団を見ている

海の向こうのどこか
そこで彼女は僕を待ち構えている
もしも僕が鳥のように空高く飛べるのならば
彼女の両腕にまっすぐに向かう
僕は出航するんだ

星々を遥か超えて
月を越えないほどに
不信を越えて
すぐにでも僕の心は僕をそこに導いてくれるはず

岸辺を越えて僕たちは逢い
以前と変わらずにキスを交わす
海を越えれば僕たちは幸せになるだろうから
僕は二度と出航することはないだろう

不信を越えて
すぐにでも僕の心は僕をそこに導いてくれるはず
岸辺を越えて僕たちは逢い
以前と変わらずにキスを交わす
海を越えれば僕たちは幸せになるだろうから
僕は二度と出航することはないだろう

もう出航はしない
さようなら航海
さようなら船旅

Bobby Darin "Beyond the Sea"

「La mer」 Charles Trenet 日本語訳


澄んだ湾に沿って踊り子がいる
銀色に反射する

雨が降ると様々に反射する


夏の空と混ざり合う
白い羊たちが純真無垢な天使たちと共にいる

果てしない空の羊飼い

見てごらん
湖沼のそばには
濡れた大きな葦が生えている
見てごらん
白鳥たちと
錆びついた家屋を

海は
澄んだ湾に沿って
愛の歌で和ませた
海は
人生のために僕の心を和らげた

Charles Trenet "La mer" (Beyond the sea) | Archive INA


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-78945


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