原題:『Arc アーク』
監督:石川慶
脚本:石川慶/澤井香織
撮影:ピオトル・ニエミイスキ
出演:芳根京子/寺島しのぶ/岡田将生/清水くるみ/中村ゆみ/倍賞千恵子/風吹ジュン/小林薫
2021年/日本
人間の可能性を模索しないSFについて
本作の主人公のリナは17歳で出産した男の子を捨てて、2年後にダンサーとして働いていたところでエマという女性に誘われて化粧品会社『エタニティ』で防腐処置を施した遺体に繋いだいくつもの糸を舞うように引っ張ることで亡くなった人物や動物の個性が引き立つポージングを作るという「ボディワークス」という仕事に携わることになるのだが、さらに10年以上が経ち、人間が不老不死になる「老化抑制技術」を実用化した仕事に移行していく。
リナも不老不死の処置を受けて、外見は30歳のまま老後を迎えるのだが、17歳で産んだリヒトと出会い、リヒトを失ったことから不老不死の処置を受けることを止めて135歳になった頃に人生は終わりがあるからこそ意味を持つと達観するのであるが、これは既に聞き飽きた結論で正直がっかりしてしまった。
なによりも「ボディワークス」の可能性に関して消化不良ではないだろうか? リナとリナの孫のセリを芳根京子が演じることが「ボディワークス」の完成形の暗示であるならば、これは人間の努力ではどうにもならない偶然頼みでしかなく、画面の特異さが活かされていないように思うのである。
gooニュース
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