原題:『The Door into Summer』
監督:三木孝浩
脚本:菅野友恵
撮影:小宮山充
出演:山崎賢人/清原果耶/夏菜/眞島秀和/浜野謙太/高梨臨/原田泰造/藤木直人
2021年/日本
「璃子はまだ16だから」
三木孝浩監督の作品は個人的にはどれも高評価なのであるが、『フォルトゥナの瞳』(2019年)がトンデモ作品だったので、SF系は厳しいのか思いながら本作を観に行ったのであるが、原作を簡潔化して上手くまとめて描いている。つまり原作のエッセンスである主人公の高倉宗一郎と、ビジネスパートナーの松下和人と宗一郎の恋人の白石鈴の裏切りと、宗一郎の、松下璃子を通じての人間に対する絆の回復までが分かりやすく描写されていると思う。
ところが原作を改めて読んでみるならば、「裏テーマ」があることが分かる。主人公のダニエル・ブーン・デイヴィスは1970年に30歳の技術屋で「ハイヤード・ガール」、「ウィンドウ・ウィリー」、「フレキシブル・フランク」などの家庭用ロボットを開発している。デイヴィスが2000年にタイムスリップすると、はっきりと描かれてはいないのだが、それらのロボットが実用化された代償として大量の失業者が出ているようなのである。本作が「つまらない」とするならば本作がただのエンターテインメントではなく社会批評が紛れ込んでいるからだと思う。
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