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『6月0日 アイヒマンが処刑された日』

2023-09-21 00:55:22 | goo映画レビュー

原題:『June Zero』
監督:ジェイク・パルトロー
脚本:ジェイク・パルトロー/トム・ショバル
撮影:ヤロン・シャーフ
出演:ノアム・オヴァディア/ツァヒ・グラッド/アミ・スモラチク/ヨアブ・レビ/トム・ハジ/ロテム・ケイナン
2022年/イスラエル・アメリカ

メインストーリーに集中させない「演出」について

 イスラエルが関わっている映画は基本的に眉に唾を付けることを課している。本作も何となく怪しく見えるのは、おそらくフィルムカメラで撮ったであろう冒頭の映像にカメラのレンズに付着している埃が映っているからで、学生が撮った映画ならばまだしもこれくらいのことは配慮して撮影されるべきなのである。
 本作のテーマは言うまでもなくナチス親衛隊中佐としてユダヤ人大量虐殺に大きく関わったアドルフ・アイヒマンが1962年6月1日の処刑される当日の模様が映されるはずなのだが、アイヒマンの遺体の焼却を担ったゼブコ社長の工場が何故選ばれたのか細かな経緯が描かれておらず、逆にアイヒマンの処刑に関係の無いエピソードが挿入されていることが不思議である。主人公のダヴィッドは小さいということで焼却炉内の掃除の仕事をさせていたはずなのだが、ゼブコ社長と一緒に車で行った仕事関係先の工場から焼却炉を取り戻したことから何故か13歳の少年がベテランの域に達してしまうところも気になる。
 アイヒマンが急遽呼ばれた美容師によって散髪されるシーンがある。確かに緊張感があって悪くはないのだが、ところでアイヒマンはあんなに毛量があっただろうかという余計な疑問が生じて来る。
 時代は変わって大人になったアラブ人のダヴィッドがユダヤ人協会(?)に自分がアイヒマンの遺体の焼却に関わったことを認めて欲しいと懇願しに来るのだが、女性担当者は証拠が無いということでウィキペディアへの掲載を認めないことにする。逆にこのシーンにリアリティがある理由は、監督でアメリカ人のジェイク・パルトローのウィキペディアに英語版も含めて本作に関することが全く書かれていないからである。いずれにしても怪しい作品ではある。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/anannews/trend/anannews-504365


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