MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』

2019-09-03 01:56:36 | goo映画レビュー

原題:『Fast & Furious Presents: Hobbs & Shaw』
監督:デヴィッド・リーチ
脚本:クリス・モーガン
撮影:ジョナサン・セラ
出演:ドウェイン・ジョンソン/ジェイソン・ステイサム/イドリス・エルバ/ヴァネッサ・カービー
2019年/アメリカ

アクション映画における「固有名詞」の重要性について

 クライマックスの車と戦闘ヘリの派手な攻防に見応えがあることは間違いないとしても、意外と主人公のルーク・ホブスとデッカード・ショウが言い争うシーンが多く、その会話を面白いと思えるかどうかが本作の評価を左右するように思う。ここでは「固有名詞」をキーワードに語ってみたい。
 デッカード・ショウと妹のハッティ・ショウが子供の頃にしていた遊びとして「キース・ムーン(Keith Moon)」とか「ミック・ジャガー(Mick Jagger)」というコードネームをつけた作戦をたてていた。「キース・ムーン」はイギリスのロックバンド「ザ・フー(The Who)」のドラマーで、演奏終了後によくドラムを壊していたことから、金銭を奪うためなら何でも壊す作戦名になっており、「ミック・ジャガー」とは他のことをして相手の目を奪っている間に本来の目的を達する作戦なのだが、これは明らかに演奏技術や楽曲のクオリティーの低さから特異の「パフォーマンス」により観客の目を逸らすミック・ジャガーに対する陰口であろう。
 エンドクレジットに挟まったシーンで、唐突にホブスが電話相手のショウをイギリスの警察に逮捕させる場面がある。イギリスの警官はショウを「ヒュー・ヤヌス(Hugh Janus)」と呼ぶのであるが、これは「大きな尻の穴(Huge Anus)」という意味になる。何故ホブスはショウにこのようなイタズラを仕掛けたのか勘案するならば、ショウがホブスのためにパスポートを取った際に、ホブスの仮名を「マイク・オックスモール(Mike Oxmaul)」としており、これは「俺の小さいペニス(My Cock Small)」としたことに対してやり返したのである。
 ホブスは意外とインテリでニーチェ(Friedrich Nietzsche)やブルース・リー(Bruce Lee)の格言をハッティに披露したりしており、これらの固有名詞を理解できるかどうかが本作を楽しめるかどうかにかかっているように思う。


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