原題:『天上の花』
監督:片嶋一貴
脚本:五藤さや香/荒井晴彦
撮影:渡邉寿岳
出演:東出昌大/入山法子/吹越満/浦沢直樹/萩原朔美/鎌瀧恵利/林家たこ蔵/有森也実
2023年/日本
狂気を昇華させられなかった作家について
最近で言うならば『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』(近藤明男監督 2022年)のように太宰治に関する「蛮行」は見慣れており、いまさら太宰が何をしていたとしても驚くこともなくなったのだが、三好達治に関して暴力沙汰を起こすようなイメージが全くなく、萩原朔太郎の妹であるアイとの同棲生活の異常さに驚かされる。それが事実に忠実かどうかはともかく、アイに対するDVシーンにおいてホラー映画レベルのストーカーぶりを東出が遺憾なく発揮している。
しかし惜しむらくは、太宰がその狂気を作品に上手く昇華させ、いまだに読者を獲得していることに比べるならば、三好の作品は文庫化されている作品も少なく、かなり量をこなしたはずのフランス文学の翻訳もほとんど残っておらず、狂気が不発だったが故に、三好は忘れられた作家なのであろう。
映画としては『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』同様に画面のチープさが否めない。
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