学生時代に路面電車やバスを利用することはあまりなかった。帰省する時に使うくらいだった。私は近くの「比治山橋」ではなく、わざわざ「大学前」から乗車して、時間をかけて広島駅に移動していた。当時の料金は120円だった。
広島駅から東千田町の大学に行くには『宇品行き①』に乗らなければならなかった。同じ下宿にいた総合科学部理系の“柔道黒帯”は入試の際に誤って『宇品行き⑤』に乗ってしまい、肝を冷したという。
異変に気付いた黒帯が車掌に恐る恐る尋ねたところ「君、この電車は大学を通過せんよ」と冷たく言われ、慌てて比治山で下車してタクシーを拾い、試験会場に遅刻して飛び込んだ。「恥ずかしくて情けなかった。でも二浪せんですんだわ(笑)」と彼は回想した。
路面電車が10m間隔で4車続いた光景は珍しい。この画像は「紙屋町西」電停から相生橋付近を撮影したものである。
6月10日は路面電車の日。全国の鉄オタが広島電鉄の車庫に集まってくる。子どもを連れて行き、家族サービスする父親は多い。
