サイドボードの掃除中に黒い箱らしきものが出てきた。チョコレートにしては大きすぎると思ったが、すぐに何であるかが分かった。1993年に発売された2枚組ブートの外箱である。既にディスクは手元に無く、データは外付けHDDの中に封印されている(笑)
ハードロック狂の知人にLED ZEPPELINの武道館公演の音源を大音量で聴かせたのは3年前の暑い夜のことだった。彼は興奮を抑えきれない様子で喋り始めた。
「こんなブツが流通してるんか?」
「あぁ、西新宿に行けば容易に手に入る」
「で、なんぼしたん?高いんか?」
「1万円以上したんじゃなかったかな。あの頃は高いモノがバンバン売れた。業者にとってはいい時代だった」
「今でもそんな値段で売られてるんか?」
「まさか。ブートバブルはもう終わってる。タダでダウンロードできる時代にわざわざブートを買っているのは、アホなおっさんだろうよw」
「じゃあ、お前もアホのうちだな。コピーしてくれ」
「邪魔くさいからディスクやるよ」
「ほんまにええんか。ヤフオクに出せばそこそこいくんだろう?」
「ダメダメ。漱石2枚ってとこかな。あそこはどこの馬の骨かわからんヨタモンくずれが多いからイヤなんだよw」
「ほうか。でもタダじゃ悪いな~」
「そんなら旨いモン奢ってくれ!」
「何食いたいん?」
「そうな~大アコウ(註:キジハタ)で手を打とうかw」
「分かった。例の割烹、予約しとくわ」
ブートを捨てて美味いアコウを鱈腹食ったことを思い出した。久し振りに1971年9月23日の音源を聴いてみた。ジミー・ペイジの名誉のために言っておこう。この頃の彼はまともである。最後の輝きの記録としては少しは価値がある(笑)
エディ・バン・へーレンが「ヤツも薬に手を出さなければ、あんなにはならなかったと思う」とインタビューで語っていた通り、73年以降マジックは見られなくなった。
パブロフの犬のような、だらしないノッポさんに変わろうとは、誰が予想しただろうか。彼は長生きすべきではなかったという意見もあるほどだ(笑)