(朝露に濡れる@大平台・アジサイの小径)
大雨で肌寒かった土曜日とは一転し、強い日差しと気温に夏を思わせた日曜日。前の日に晩酌をキメてさっさと寝てしまったのが功を奏して、早く目覚めた朝。午前中の散歩がてらに、箱根詣ではちょうど良い。紫陽花の色付きを気にしながら、箱根旧車軍団サンナナ編成の最後を撮影しに小田原厚木道路を下る。現在オダアツは何年かに一回の大規模修繕中でところどころ通行止めや片交があったのだけど、朝6時台なら関係ナシ。さすがに時期早く三分咲き程度の大平台ではありましたが、日当たりの良い株はもう見頃のものもあったりして。朝露に濡れる紫陽花のシズル感。
何となくだが、土日はサンナナかヨンロクのどっちか一方しか動かさないイメージがある登山電車の運用。朝から動いていたのは、引退間際のサンナナの方でした。先週あたりから7月の引退を間近に控えた記念のステッカーなどで装飾されています。引退だからこそ普段着で送り出したい気持ちもない事もないんだけど、まあ電鉄本社が引退へ用意した餞という事なのだろうか。今日は緑の109+107-103という並びなので、面の出ている103を集中的に。
遠く天下の嶮の山峡にこだまする、重厚かつ濃厚な吊り掛けサウンド。大平台隧道の東口を、緑のマルキューを先頭に降りて行く湯本行き。上大平台から大平台隧道東口まで、何年か前に紫陽花が刈られたまま草生しているのだが、再整備する雰囲気がない。箱山文庫という謎の洋館の前の小径はいつもひっそりとしていて好きなのだけど。
今日はまっこと梅雨の中休み、といった天気の青空の下、姫之湯踏切を降りて行くサンナナ。午前中の光でサンナナが前に来るのは湯本~塔ノ沢と姫之湯踏切の辺りくらいだろうか。ちなみに、ヨンロク編成の方も106が「小田原市内線カラー」と呼ばれるクリームと水色のツートンに塗られたので、ぜひそっちも撮影したかったのだが、午前中の運用には入ってませんでしたね。
湯本の温泉街へ降りて行くサンナナの姿。車歴を紐解けば、大正時代の小田原電気鉄道チキ1形に遡る。車両の鋼体化による載せ替え、昭和30年代の台車の交換などにより製造当時のオリジナル部品を使っている部分と言うのはほとんどないだろう。それでも車両を廃車とせず、作り替えながらでも長年使い続けて来た理由は、連続する80パーミルの勾配に耐えうる車両を開発し、装備を一から新造するには技術的にも資金的にも大変だったからなのではなかろうか。特殊な環境下において姿形を変えながら生き延びて来たモハ1形の逞しさに、ガラパゴス的な進化を垣間見るのである。