(暮れの賑わい@銚子ウオッセ21)
魚屋の店先に並ぶ大ぶりのマグロやメカジキのサク。銚子と言えば国内有数の規模を持つ銚子漁港水揚げの海産物を思い浮かべる方も多いかと思いますが、銚子ポートタワーの下にある「ウオッセ21」は、暮れという事もあり多くのお客さんで賑わっていました。ただ、銚子の場合は漁港の近くに一般向けの小売店がそうある訳ではなく、観光地然とした魚市場としては整備されていません。近隣では、那珂湊の魚市場や日立のおさかなセンターの方がよっぽど店の数も品揃えもしっかりしている印象がありますが、ともあれこの時期の銚子のメカジキが脂乗ってて美味いんだ。メカジキなんて台湾あたりの冷凍ものしか知らない人、何となく煮付けてパサパサしてるのしか食ったことない人、だいぶ人生損してるから今すぐ銚子に行って生のメカを買ってぜひ刺身でやってくれ。下手なマグロよりよっぽど美味いので。
銚子電鉄から「ウオッセ21」にアプローチするなら最寄り駅になるのが笠上黒生駅。ですが、港の方に歩いて20分くらいかかるので最寄り・・・と言うにはちと遠い。銚子の駅前からバスに乗る方がいいのかもしれない。銚子と外川の中間にあるこの駅は銚子電鉄では唯一の交換駅で駅員も常駐しておりますが、スカルプケアの会社(メソケアプラス社)のネーミングライツにより「髪毛黒生(かみのけくろはえ)」駅となり、薄毛の方々への聖地として啓毛、いや啓蒙活動に努めております(笑)。どうせならサッポロビールと提携して「笠上サッポロビール黒生駅」とかにしてくれれば良かったのに。夏はホームにビアガーデンとか作ったりしてね。
暖かな光の射し込む笠上黒生駅の待合室は、銚電の駅らしい黒板の時刻表と旅客運賃表。この黒板、確認出来るところでは仲ノ町、本銚子、笠上黒生、外川にあると思うのだけど、誰が書いているのだろうか。細かい文字をとても丁寧な楷書で書き上げていて、いつも感心してしまう。駅の出札窓口の下には、かつてのオーナー企業であった内野屋工務店の社長を模したとされるゴリラのキャラクターのヘッドマークが侘しく置かれている。この社長による銚子電鉄の名前を利用した個人的な借財とその金銭の業務上横領が、車両検査費用にも事欠く苦境の発端であったが、債権者から銚子電鉄の会社の口座を差し押さえられたというのだから穏やかではない話。
笠上黒生の駅は以前はほぼ全列車で交換が行われたものですが、現在は10時~16時のデータイムが減便され1編成による折り返し運行となりました。よって朝夕しか交換風景を見る事は出来ず、寂しくなったなあと思わずにいられません。車内には料金収受のためのアテンダントの女性が1名乗務していますが、2編成を運行している時間帯は銚子~笠上~銚子の行路となるので、交換の合間を縫って電車を乗り換えます。銚子電鉄は銚子駅に出札窓口がなく、JRからそのまま乗り換えて来る客がほとんどなので、銚子側の守りを固めないと運賃を取りっぱぐれるという事なんでしょう。
かつての笠上黒生での交換風景。801と1001の交換。昔は1両での運行でしたので、上下列車の運転台の頭を突き合わせて停車し、線路上の駅員を介してスタフの交換が行われていました。現在は全て2両編成の運行になりましたので、駅員がホームで下り電車の運転士からスタフを受け、ぐるりと構内踏切を渡って上り電車の運転士に渡すという流れに代わっています。
笠上黒生の駅では何年か前にポイントでの脱線事故があって、その復旧と原因究明のために暫くの間運行が休止されていた記憶があります。駅の脇にはうず高く積まれた古枕木が置かれていて、保線の方々の奮闘が感じられますが・・・昨今、地方私鉄での脱線事故が増えているように思うんですが、だいたい原因が軌道変位(線路の幅が広がってたりする事ね)だったりして、どこも運行を維持するための保守経費が厳しいんだろうなあと思いますよね。地方のローカル私鉄の経営の厳しさって、軌道保守やき電の管理に一番如実に表れてくるような気がしますしねえ。公共交通機関はもっと積極的に上下分離方式の議論を進めても良いと思うんですが、相変わらず日本は公共交通を私企業の自助努力に帰結させてしまう事が多い。ここらへんは莫大な借金をこしらえた国鉄の亡霊なんですかねえ。