(水色カラーの流馬号@流鉄線馬橋駅)
現在の流鉄線の主力車両5000系は元西武電車の新101系。新101系も結構な数が地方鉄道へ譲渡されて行っておりますが、東急の7200系あたりと双璧の嫁ぎ先の多さなんではないでしょうか。えーと、上信、秩父、伊豆箱根、三岐、近江、そしてこの流鉄ですか。と言う事は、この流鉄5000系とご面会したことで譲渡先の西武新101系をコンプリートした事になるわけですな。パチパチパチ。って別に自分そんなに西武線マニアでもないし新101系が好きな訳でもないんだけどw
まあ折角なんで、今までお会いして来た車両たちの姿を。秩父鉄道に行ってしまった車両(秩父鉄道6000系)の改造ぶりが激しいのが目立ちますが、まあどこも面影を残しつつ頑張っているようです。印象としては、新101系と言うか西武鋼製車の特徴である前面の銀鉄板はやっぱ外さないほうが自分は好みですわなあ。ちなみに流鉄の流馬号(水色編成)とほぼ同じカラーリングの車両が近江鉄道でデビューしていたりする。三岐だけ引き気味の写真だけしかなくて編成写真がなかった(笑)。
さて、そんな記念すべき最後の新101系こと流鉄5000系は特に発車の合図もなく馬橋駅を発車し、特に何の感想も語りにくい松戸市の住宅街を北に向け走り出しました(笑)。馬橋、幸谷、小金城趾、鰭ヶ崎、平和台、流山。どのみち全部乗っても10分ちょっとの短い路線、休日の日中は20分ヘッドのダイヤで2編成が行ったり来たり。真ん中の小金城趾で上下電車が交換、今日のもう一本は真っ赤っか~の赤城号でした。
あっという間の流山駅。今や流山市民は常磐新線ことつくばエクスプレスに南流山駅と流山セントラルパーク、流山おおたかの森駅が開業したせいもあり、東京へは一本で出れるようになりました。しかしながら、それまでの長い間はこの流山電鉄がせっせこせっせこ東京へ向かう流山市民を馬橋の駅まで送り届けていたんですよね…何となく、捨てられた女の風情と言うような絶妙な黄昏感が漂う流山駅には流山線の車庫があって、今日は使われない編成が留置されております。流鉄の現役車両は最近全て新101系に置き換わっており、赤、黄緑、オレンジ、水色、黄色の5編成があります。
流山駅の奥にある検修区。検修区の「区」の文字が旧字体の「區」となっているところが渋いのう。入区しているオレンジ編成は、7月に小金城趾の駅の近くで結構激しい踏切事故を起こしてしまった編成のようです。残り4編成あれば十分ダイヤは回って行くんだろうけど、直すのに結構長引いてるのかな。
流山駅。人口17万人を誇る流山市の玄関口にて、市役所の真隣りにある割には慎ましやかな佇まい。駅前通りには目立った商店もなく、江戸川に沿って走る県道へ続いております。昭和40年代後期に武蔵野線が通り、そして平成になってつくばエクスプレスが開通し完全に主役の座を奪われた流山線ですが、流山の名産品である白みりんの輸送に果たした流山線の功績は大きく、流山市の産業に多大な貢献を果たしたことに疑いはありません。往時はみりん工場(現在の流山キッコーマン)につながる専用線もあったらしく、駅前から斜めに伸びる路地はその専用線の跡なんだとか。
流山のみりんは「万上(マンジョウ)の本みりん」と言う名前で呼ばれ、現在はキッコーマンがその製造を引き継いでおりますが、千葉県の北部は、野田の醤油と流山のみりんと言う日本固有の調味料の産地だったんですね。そんな流山市でみりんが誕生したのが文化11年(1814年)、数えて今年は流山みりんの誕生200周年と言う事で、実に地味なアニバーサリーを迎えておるのであります(笑)。そもそも現在の流山電鉄は、みりんの出荷のために地元有志が資金を集めて作った流山軽便鉄道がルーツだしね。
心なしかほのかにみりんの甘い香りを残す流山の街、息子にトイレを済ませて折り返しの電車に乗る。帰りもきっちり小金城趾で上下の列車が交換し、ほとんど動きのないようなどんよりとした坂川の流れに沿って走った電車を、帰りは馬橋の一つ手前である幸谷駅で下車してみる。ここは名前こそ「幸谷」となっておりますが、位置的には常磐線の新松戸の駅の隣にあって、ロッテリアの横の路地を通って2分くらいで乗り換える事ができます。
流山電鉄自体はどこの電鉄会社のグループにも属さないインディーズ色の強い鉄道会社で、電鉄と並行した不動産経営で収益を上げているそうな。幸谷駅の真上にあるマンション(カーサ新松戸)も流鉄が経営しているんだって。全線通して乗ってもたった200円の運賃で、頼みの定期客はTXに取られ、実際TX開通以降は毎年鉄道事業では欠損を計上するなど楽な状況ではないようです。3両編成を2両編成に減車し、全面ワンマン化を行うなどの合理化に努めてはいるようですがねえ…
首都圏から30分程度でなかなか得難いのんびりムードは貴重なので、末永い健闘を期待したいもの。
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