青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

趣のある街の駅。

2024年04月03日 22時00分00秒 | えちぜん鉄道

(昔は町の中心駅@松岡駅)

現在はお隣の永平寺町と合併してしまったものの、以前は福井県吉田郡松岡町、五万石の石高を持った越前松岡藩の中心地にある松岡駅。駅の風格やよし、おそらくは越前電気鉄道として開業した当時からの、由緒正しき木造駅舎。永平寺口駅の旧駅舎と同様、車寄せの部分に丸い意匠がデザインされた瀟洒な駅舎である。行きがけの車窓から見て「おっ」と思わせるような雰囲気があった。こういう駅の持つ「街の顔」としての表情の良さ、末長く大事にしてもらいたいもの。

越前松岡藩は、福井藩の藩主であった越前松平氏の一族が治めた城下町でありましたが、その越前松平藩は一枚岩とは言えず・・・度重なるお家騒動の末に、この松岡藩のような小さな藩を小分けに小分けに一族に分け与えるという財産分与のような形で半世紀に亘って迷走を続けましたが、初代松岡藩の当主の三男である松平昌平が福井藩主となり、松岡藩は福井藩に吸収される形で消滅しています。

まだ「松岡町」だった頃の思い出を鏡に映しながら、勝山行きの電車が通り過ぎる。そうそう、松岡町はお隣の上志比村と一緒に永平寺町と合併したんだけど、「永平寺市」とはならず引き続き町制を貫いたんですよね。なんでなんだろう。永平寺からの収入って言ったって、永平寺は宗教法人だろうしなあ。

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比島百景。

2024年04月01日 17時00分00秒 | えちぜん鉄道

(残雪の勝山盆地を行く@比島~発坂間)

前に来た時にも、この辺りの線路際の路地をウロウロと撮り歩いていた記憶がある。その時の比島は夏だったのですが、今回の2月の終わりの訪問だったので、それなりの雪景色を期待していたんですけども、殺風景な冬枯れの風景はサマになっているとは言いがたいものがありますね。とにかく色がない。と言う訳で比島で昼近くまでああでもない、こうでもないとブラつきながらお腹が空くまで比島界隈でシャッターを切る。この日は、結局最後は比島から勝山駅まで歩いてしまった。チンタラ歩いても25分くらいだからどうということはない。普段は「25分も歩く」なんて言われたらウゲェ~ってなってしまうのだけど、とにかく旅先の撮り鉄はよく歩く。いつもの生活でもこのくらい歩けば、体重も今よりだいぶ少なくて済んだだろうになあと思うので、健康と体重のためにも毎日旅に出て「鉄」していればいいのではないだろうか(笑)。

沢水が流れる石造りの小さな橋。比島の耕地に水を届けるのは、九頭竜川に流れ込むこのような小さな沢水だ。集落の周囲の山すそには、金網で出来たイノシシ除けの高い柵が幾重にも張り巡らされていて、里山で農業をすることの苦労が偲ばれる。住んでらっしゃらないのかな、というお宅もちらほらと見え、中山間地の荒廃は推して知るべしだ。ここ勝山市も人口が2万人を切りかけていて、過疎化に拍車がかかっている。それなりに間をおいて訪れる地方の風景は、以前と比べて「廃屋」と「耕作放棄地」と「雑草、灌木の繁茂」がとにかく目立つのだが、時の流れに身を任せるしかないのであろうか。

比島の集落の西側にある「草刈場踏切」。おそらく冬の時期、通常ならば雪に閉ざされているものと思われるが、杉の落ち枝を踏み越えつつも何とか到達が出来た。印象的な森の中を抜けて行くシーン。こんなところを歩いている人間など他にいないのか、車窓から外を眺めていたお客さんが驚いたような顔をしていた。

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