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トランプ米大統領が「デジタル焚書」、気候変動などアクセスできず

2025年03月04日 | 環境問題
アメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が、2025年2月28日(日本時間の3月1日未明)に会談し、激しい口論となり、予定していた鉱物資源の権益をめぐる合意文書への署名が見送られた。
※2枚の画像は、毎日新聞の記事サイトから拝借

「こんなことをしていては、ロシアのプーチン大統領を利するだけなのに…」と危惧しているが、今朝(3/4)の毎日新聞1面トップには〈欧州、有志国で平和維持 ウクライナ停戦案を米提示へ〉という記事が出ていて、少し安心した。

このトランプ大統領、先週(2/25)の同紙夕刊1面トップで、とんでもないニュースが報じられていた。〈「デジタル焚書(ふんしょ)」手染める覇道(はどう) 「気候変動」米連邦サイトから次々削除 トランプ政権 科学より信条〉という記事だ。「焚書(書物を燃やす)抗儒(儒者を生き埋めにする)」の「焚書」だが、これはすさまじい話だ。

「気候変動」など、特定の言葉やそれに関する情報が、次々に削除されているという。温室効果ガスのせいで、人類は「地球沸騰」と言われるほどの暑い夏を経験しているというのに、「デジタル焚書」とは、信じられない。以下、記事全文を紹介する。



トランプ政権に移行した米国で、連邦政府機関のウェブサイトから特定の言葉やそれを含む情報が次々と消されている。一つの例が「気候変動」だ。 「気候変動に関連するすべてのウェブコンテンツを特定し、スプレッドシート(表計算ソフト)にまとめるように」

米メディアに流出した農務省の内部メールでは、サイト管理者に気候変動を扱うページなどをリスト化して公開を止めるよう命じたことが明るみに出た。対応は順次進んでいる。農家の脱炭素を支援するプロジェクトの紹介ページなどは「アクセス権限がない」と表示され、一般ユーザーはもう閲覧できない。

航空宇宙局(NASA)の気候変動を解説する特設ページも、「より統合された科学」を扱うウェブサイトへの「引っ越し」を予告する。遠回しな表現だが、改廃を示唆しているとみていい。本丸ホワイトハウスのホームページで「気候変動」を検索すると、数件がひっかかる。どれもトランプ大統領が大統領令で「無効化」したバイデン前政権時代の文書の題名に含まれるものだった。

背景にあるのは科学をめぐる論争ではない。信条や価値観、さらに米国とは何かという世界観の相違に基づく情報統制だ。その意味では「デジタル焚書(ふんしょ)」と呼んでも差し支えないだろう。

第1次も1400件改変 専門家ら保存運動
第1次トランプ政権でも同じことが起きた。「アクセス拒否」と題した報告書がある。科学に基づく政策立案を推進する専門家のネットワーク「環境データ・ガバナンス・イニシアチブ」(EDGI)が、トランプ政権1期目の連邦政府機関のウェブサイトに加えられた変更を分析し、2021年に発表した。

それによると、気候変動とエネルギー、環境問題に絡んで少なくとも約1400件の改変があった。うち約300件は規制に関係する内容だったという。規制緩和の手続きの過程で関連する記述やデータを削除するパターンが多くみられ、一般市民の理解を「妨げる」意図があったと分析した。

今回、EDGIはトランプ政権の「より激しい攻撃」に備えて、昨年11月の大統領選後から政府機関のウェブページを保存して別の場所で公開するための作業を続けている。メンバーでカナダ・ゲルフ大のエリック・ノスト准教授(地理学)は「地域の擁護団体や研究者が(変更される前の情報の)コピーにアクセスし、十分に活用できるようにすることが重要だ」と指摘する。

抑圧はデジタル空間にとどまらない。環境保護局(EPA)では、貧困層やマイノリティー(少数派)に公害などの影響が偏る「環境正義」と呼ばれる課題に取り組む職員たちが、強制的な休職に追い込まれている。トランプ氏は就任初日の大統領令で、「環境正義」を冠した連邦機関の部局や補助金は「公共の無駄」だと冷淡に切り捨て、撤廃する方針を打ち出した。

EPAで環境正義の取り組みを拡大させたのは民主党のバイデン前政権だが、1992年に初めて専門部局を作ったのは共和党のブッシュ(父)政権だった。環境保護に対する超党派の肯定的な世論が、共和党に「ウオーク(社会正義に対する高い意識)」な政策の後押しをする時代もあったのだ。

ICJ勧告 出れば「燃料」
くしくも国連の司法機関である国際司法裁判所(ICJ)は今年、気候変動の影響から現在・未来の世代を守るため、国家がどのような法的義務を負うかについて「勧告的意見」をまとめようとしている。勧告的意見に拘束力はないが、権威ある決定として関係国の行動の指針となる。

東京大の高村ゆかり教授(国際法)は、気候変動に対する世界的な関心の高まりを受け、ICJが「人権侵害の回避、あるいは越境の環境被害を防止するため、一歩踏み込んで義務を明確化する判断はあり得る」とみる。ICJがどのような意見を出そうとも、トランプ政権に軌道修正は期待できない。むしろ国連を攻撃し、地球温暖化の国際枠組み「パリ協定」離脱など自身の政策を正当化する「燃料」とするはずだ。

一方で気候変動という言葉を隠し、見ないふりをしたところで現実の脅威からは逃れられない。各国は将来の米国の揺り戻しを見据え、着実に対策を進めながら嵐をやり過ごすしかないのである。【ニューヨーク八田浩輔】


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