澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

台湾人の心を踏みにじったNHKスペシャル「アジアの”一等国”」

2009年04月09日 23時40分42秒 | マスメディア

4月5日放送、NHKスペシャル「アジアの”一等国”」では、日本の台湾統治、皇民化の問題を採り上げた。その中で、旧制・台北一中の台湾人卒業生がインタビューに応じ、日本統治時代の台湾の想い出を語った。TVで放送された限りでは、台湾人はひどい差別を受け、日本を恨んでいるという趣旨の発言が繰り返し採り上げられた。
その中のひとり、台北帝国大学医学部出身の台湾人医師・柯徳三氏は、、宮崎正弘氏の電話インタビューに応じ、NHKが台北一中同窓生のインタビューを恣意的に編集したと語ったそうだ。

何故いま、NHKは明らかに「反日・反台湾」としか考えられない番組を作るのだろうか。日本統治時代の史実を歪めてまでして、近代日本を”悪者”として描くのはどういう意図があるのだろうか。

以下に柯徳三氏の反論を引用させていただく。TV番組しか見ていない人々は、これを見て驚愕するに違いない。


 
■心外だ!台湾人が排日と誤解される!
―――私は日本による五十年間の台湾統治はプラス面が五〇%でマイナス面が五〇%と考える。NHKの取材を受け、インフラや教育のよさを語ったのだが、番組は全然取り上げなかった。
―――日本による差別待遇など、欠点への怨み事ばかりを取り上げ、あたかも台湾人が朝鮮人と同じく排日だとの印象を植え付けようとしているらしいが、これは心外だ。
―――烏山頭ダムを造った八田与一技師の話もした。いかに農民にいいことをしたかなど。八田技師の長男とは同級生だったことも話したが、怨み言を並べる場面ばかりが映された。
―――怨み言は、あのころの日本政府に対するものではない。私たちを健やかに育ててくれた日本政府には感謝している。
―――「日本に捨てられた台湾人の怨み言」であると解釈してほしい。黙って国民政府(蒋介石政府)に引き渡したときの怨みだ。
―――国民政府は日本政府の倍悪かった。(四七年の)二・二八事件では台湾人エリートが犠牲になったが、そのことをたくさん話したのに、まったく取り上げていない。
―――同窓会では怨み言がたくさん出たが、あれはみんなが押さえつけられていた感情をさらけ出したものだった。しかし私たちは日本に対し、一定の評価をしている。

―――敗戦で日本は台湾を投げ出した。切り離した。しかし償いがなかった。物質的な償いではなく、精神的な償いがだ。マッカーサーの命令により、やむをえなかったことは、台湾人はわかっている。しかし「捨ててすまなかった」とちゃんと言ってくれれば、台湾人は慰められたのだ。
―――「捨てられた怨みを並べた」と解釈して欲しい。
―――私は親日でも反日でもない。私にとって日本は養母なのだ。中国から切り離され、日本に養子として拾われたのだから。日本人に差別はされたが、私が今日一人前の医者として活躍できるのは(もう引退はしているが)、日本のおかげだ。
―――NHKには利用された、騙されたという気もしている。日本に対するネガティブな印象のところだけ取り上げられた。
―――台湾と日本との仲を引き裂こうとしているのだろうか。どうしてもそう見える。台湾へ来たことのない人が番組を見たらどう思うか。
―――NHKのバックには中共がいるのだろうか。NHKは中共にブレーンウォッシュされているのだろうか。それとも遠慮しているのか。
―――私は記者に対して「怪しからん」と話した。「北京総局を置いているが、その下に台北支局を置いている。それなら台湾総局とするべきだ。日本が本部なら、北京も支局とするべきだ。台湾は中国に属していない」と。だがそれは消された。
―――私は番組の中で「喋るのも日本語。台湾語でこう言う演説はできない」と怨み言を言ったが、それは中国語が話せないと言うこと。台湾語はもともと文章は書けない言葉。若い人から見ると、私たちは日本語ばかりを話す「かたわ」となってしまう。「かたわ」と言うのは「捨てられた人間」と言うことだ。
―――私は話の最後で「都合の悪いところがあればちょん切って」と頼んだ。それは「日本人が不愉快に思うような悪口の部分を切って」と言う意味だったが、逆にそれらばかりを取り上げられた。 私は以上の話を聞き、「広く日本人に伝えたい」と話したら、「そうして欲しい」と言われた。

 

 

 

海角七号 映画オリジナルサウンドトラック(台湾盤)

Forward Music (TW)

このアイテムの詳細を見る

再び、NHKの歴史認識を問う

2009年04月09日 03時56分03秒 | マスメディア

4月5日、NHKが放送したNHKスペシャル「アジアの”一等国”」は、日本の台湾統治を「皇民化」を軸に採り上げたが、視聴者を誤解させるような意図的な編集、作為的な結論が露骨に見られた。
先日のブログでは次のような点を指摘した。

『①映像を巡る疑問
 日本の台湾統治を象徴する写真の1枚として、万国博覧会に展示された台湾原住民の生活展示を「人間動物園」と題して紹介している。これは、台湾原住民を万国博覧会に連れて行き、生活展示したものだが、このような手法は、欧米列強のやり方を模倣したものに過ぎず、特に残虐だとか、非人道的だとか言われるべきものではない。それよりも、この「人間動物園」という衝撃的なタイトルとこの写真が、視聴者に与える誤解の方がよほど問題なのではないかと思われる。
 後藤新平が、台湾の近代化、社会開発に貢献した史実の紹介も、この1枚の写真ですべて帳消しになってしまいかねない。NHKは、そういう視覚的効果を十分知りながら、何故、この映像を流したのか、ぜひ訊いてみたいところだ。


②旧制・台北第一中学同窓会での発言内容
 旧制・台北第一中学OBである台湾人の発言をNHKは恣意的に編集したのではないかという疑いがぬぐいきれない。
 「台湾人の進学率は3%に過ぎなかった」「進学・就職・出世、すべての面で台湾人は差別されていた」「日本語で物事を考える人間にされてしまった」等々、日本統治時代に対するネガティブな発言がクローズアップされていたが、奇妙なことに、彼らが「二・二八事件」について言及する場面は放送されなかった。彼らがこの事件について何も語らなかったなどとは、到底信じられない。何を語ったのかきちんと採り上げるべきではないか。多分彼らは、日本統治時代を批判しているのではなく、国民党による「白色テロ」の時代に日本が何もしてくれなかったことを非難しているのである。その点が故意に歪曲されているのではないかと推測する。
 NHKは、はじめから日本の台湾統治のマイナス面を拾い上げるという編集方針でこのインタビューを使ったのではないかと疑う。
 現にMixiの台湾関連コミュニティでは、この同窓会に参加した人が「私たちの真意が伝わっていない」と発言したと伝えられている。


③何故、中国に遠慮するのか?
 番組では、日本は「皇民化」の過程で、「中国語」を禁止し、日本語を強要したと説明している。何故、「中国語」とわざわざ言うのだろうか?正確には「台湾語」であるはずだ。このように、至るところに、中国からのクレームを避けようとする意図が見え隠れするのだ。その結果として、視聴者には歴史の細部が見えなくなってしまうのである。


④なぜまっさきに「皇民化」なのか?
 これから何年も続くらしい、このNHKスペシャルの第1回に何故「皇民化」をとりあげるのだろうか?
 ふと考えるのは、誰かがこの放送をDVDに入れて、台湾人に大量に配ったとしたら…ということ。「親日的」とされる台湾人でも、日本を代表する「国営放送」がこういう番組を制作したとなれば、その内容を信じてしまうのではないかという恐れをいだいた。両岸関係委員会の中国側代表・陳雲林が、映画「海角七号」を「皇民化の大毒草」と評したのはよく知られているが、このNHKスペシャルは、そうした中国側の意図をくみ取って(?)作られたとも読みとれるのだ。
 台湾では、200万人が映画館に足を運んだという映画「海角七号」(2008年)。そこには、日本統治時代を非難するどころか、「…棄てたのではない、泣く泣く手放したのだ」という日本語のナレーションが流れ、日本統治時代からの日台の”絆”が謳われている。だが、この映画は、日本での公開予定さえ立っていないのだ。
 現在の台湾は、言論の自由、自由選挙などが保証されている民主主義国家であり、共産党独裁の大陸中国とは全く異なる国だ。台湾人は日本人と同様の政治的、経済的自由を享受している。その台湾人が、日本統治時代の功罪を冷静に理解しようと努めている矢先に、NHKは「日本はこんなにも悪いことをいたしました」と放送したのだ。このことが日台関係に及ぼす悪影響は、計り知れないものがあるだろう。そして、それを喜ぶのは誰かといえば、中国に他ならない。

 結果として、このNHK番組は、台湾人の「親日感情」をことさら傷つけ、大陸中国の対台湾統一工作に加担するものだ、と言われても仕方ないだろう。』

 

上記②については、他のブログの中で次のように記されている。


―――酒を飲むのも日本酒。喋るのも日本語。こういう人間に誰が育てた。日本だ。二十年間の教育は恐ろしい。

日本時代を懐かしがっているとされるあの世代の台湾人のこれらの言葉に、耳を疑う日本人は多かったかもしれないが、実際にあの世代には、相手を不愉快にさせまいと、日本人の前ではあまり語らない感情があるのだ。

それは当時台湾にいた日本人から受けた差別への恨みだ。同じ日本国民でありながら、感情面でも制度面でも加えられた差別への悔しさである。NHKはカメラの前で、彼らにそれを思う存分話させた、あるいは吐き出させた。そしてそれを日本の「漢民族弾圧史」の揺るぎなき傍証に仕立て上げた。

それを一つの歴史検証の方法だとしても、公正さが求められる番組の手法としてはどうだろうか。

上の掲げた発言は、日本統治時代の台北一中の卒業生たちのものだが、彼らをよく知るある日本人が「おかしい」と直感した。たとえ知り合いではなくても、台湾のあの世代と交流があれば、「何かがおかしい」と感じるのが自然だろう。

そこでその人が電話で本人たちに確認したところ、「日本統治より国民党統治の方がひどかったと話したが、その部分は番組で削除された」ことなどがわかって来た。(「台湾は日本の生命線!」より引用)



このように、NHKの露骨なやり方が次第に明らかになってきた。白を黒と言い含めるも同然のこのやり方は、当然、非難されてしかるべきだ。NHKのドキュメンタリーは、民放では作れない優れた作品が多いと思っていたが、今回の番組は、視聴者の信頼を大きく裏切る内容だった。NHKがこれほどまでに「媚中」(中国に媚びる)的態度をとるのは、いったい何のためなのだろうか?

このドキュメンタリーの究極の目的は、中国による台湾併合を側面から支援することだ、という確信が深まった。