澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

NHK「アジアの”一等国”」と米国TV「知られざる台湾」

2009年04月11日 22時50分39秒 | 台湾

ディスカバリー・チャンネルで「知られざる台湾」(全5回)が放送されている。

http://japan.discovery.com/series/index.php?sid=776


台南市の歴史を採り上げた回では、日本統治時代がどういう時代であったのか、インタビューも交えて紹介していた。4月5日、NHKで放送されたNHKスペシャル「アジアの”一等国”」は、台湾の日本統治時代がいかにひどい時代であったかをPRするような番組であったが、アメリカのTV局によって制作された、この「知られざる台湾・台南」は全く正反対の内容である。
以下に、放送された内容を正確に記すので、ぜひ、読んでいただきたいと思う。NHK「アジアの”一等国”」がいかに歪曲されたものか、必ずわかるはずだ。


【知られざる台湾~台南】(ディスカバリー・チャンネル)より

1884年の日清戦争で清は日本に敗北、翌年に下関条約が結ばれ、台湾は日本に割譲されました。
日本は第一号植民地である台湾の開発に着手、しかしその道は平坦ではありませんでした。
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85年に日本の統治が始まり、台南はまたしても歴史の波に飲み込まれました。清朝から解放された人々に、今度は日本の重税が課せられました。台南の人々は日本軍に抵抗しました。このとき、長老派教会の宣教師が日本軍との交渉を買って出ました。
彼は危険を顧みず、日本軍との交渉に向かいました。交渉を成功に導いたのは、英国人宣教師のトーマス・バークレイでした。この件で、長老派教会は人々の信頼をさらに厚くしました。バークレイ牧師は、60年近く台湾で暮らし、この地に永眠しました。

台湾の名門校「国立成功大学」は、日本統治時代の代表的な建築です。この時代の建築は、台南の各所に見られ、西洋的なアーチや柱が特徴的です。
王浩一は、台南独特の建築を研究しています。これらの建築物は、台南の歴史を知る手がかりなのです、
(王浩一の説明)「明治維新の時期、日本から多くの留学生が渡欧し、西洋の建築を学びました。」
日本の初の植民地である台湾で、新しい建築が試されたのです。
王浩一)「日本統治時代の建築は、野心と創造性にあふれています。」
王は、台南にある日本統治時代の建築を100枚以上、ドローイングしデータ化しました。

日本が台南の街並みを大きく変えたことが分かります。
(王浩一)「日本の統治時代を研究して分かったことがあります。日本は台湾を植民地化しましたが、台湾の発展にも大きく貢献したのです。」
日本は経済発展を目指し、台南を開発しましたが、都市の景観にも配慮し、ホウオウボクを街路樹に植えました。今日、台南が”鳳凰の街”と呼ばれるようになったゆえんです。

日本の支配はいまだ記憶に新しいものですが、日本の寄与に感謝している人々も少なからず存在します。
(黄教授 Institute of Taiwan History Academia Sinica)
「近隣諸国に於ける経済発展はゆっくりとしたもので、しかも波のあるものでした。一方、台湾は急成長しました。」

日本が台南に遺した遺産を否定することはできません。50年に及ぶ日本の支配を経て、台南は近代都市になりました。インフラが整備され、経済は発展、高度な農業が行われました。この時期に近代化が実現したことで、現在の台南があるのです。

黄天横は政府高官の家系出身で、日本統治時代に育ちました。当時は良い時代だった、と彼は語ります。
「製糖業を発展させるためには、莫大な資本が必要でした、それを可能にしたのは、日本です。」

台湾の気候はサトウキビの栽培に最適ですが、小規模な生産しか行われていませんでした。
1900年に日本が資本、機械、技術を持ち込み、大量生産が実現しました。台湾の砂糖の年間生産量は、1939年に20倍に増え、世界第3位となりました。
日本は台湾の教育、経済、そしてインフラの近代化に成功し、50年の占領で人々の生活は大きな変化を遂げました。日本は台湾に足跡を残したのです。
そして、国際都市となった台南は、独自のアイデンティティを模索しはじめました。

広島と長崎に原子爆弾が投下され、第二次世界大戦は終結。日本は降伏し、台湾を手放しました。
台湾は日本が入植してから大きな進歩を遂げていました、

(黄天横)「日本軍は台湾から撤退するときも整然としていました。日本に帰還する際に、所持品を売り払った人もいたようですが、私は気の毒だと思いましたよ。」


念を押すようだが、これは米国のディスカバリー・チャンネル制作のTV番組である。日本に対して特にシンパシーもない米国のTVが、台湾を取材した結果、こういう内容の番組ができあがった点に注目したい。
金美齢氏は、NHKスペシャルを「自虐史観に基づく番組制作」だと批判した。NHKスペシャルが、視聴者にいかに歪んだ歴史観を植え付けようとしているか、いまや明白だろう。

 

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金美齢氏が見たNHKスペシャル「アジアの”一等国”」

2009年04月11日 11時56分02秒 | 台湾

金美齢氏がHPのコラムでNHKスペシャル問題を採り上げた。
「自虐史観を出発点とした番組」と題し、次のように述べている。

 

<090408.jpg 有識者らが「日本人の誇り高き精神の復興」を語り合うシンポジウム「日本の再建、この国の歩むべき道を切り拓く、国民総決起大会」(4月8日)でも、櫻井よしこさんとともにNHKスペシャルを批判した。

…4月5日のNHKスペシャル・アジアの"一等国"という番組はひどすぎるというメールをたくさんいただきました。私もまったく同感です。まずは自虐史観ありき、そこが出発点の番組だったような気がします。日本人だけで反省するのは勝手だとしても、台湾の人たちにまで、ある種の偏見を押し付けるような取材の仕方や編集は、私には許せません。台湾は世界一の親日国家と言われており、それは台湾に足を運んでいただいた方々みなさんに実感していただいていることです。台湾人のあっけらかんとした日本人への好意は、50年間の日本統治がNHK報道のようにひどいものであれば絶対にあり得ません。とても偏った取材、偏った番組の作り方だと思います。

 番組のなかでは、日本人と一緒に台北第一中学校をでた方々の、いじめられた、差別された、という発言だけが映し出されています。しかし、もし自分たちの受けた教育に対して否定的な思いだけを抱いているのであれば、戦後六十数年たった現在でもあれだけ流暢でレベルの高い日本語を駆使するでしょうか、使うでしょうか。日本が嫌いであれば、自分が学んだ日本語は永久に封印するはずです。このことだけでも、日本すなわち加害者という立場から出発している番組であることを強く感じます。

 あの番組を観た多くの日本人が、日本がひどいことをした、とだけの偏ったインプットをされたとしたら、非常に不公平だし、非常に不幸だと思います。まだまだ言い足りませんが、私の意見は雑誌などでしっかり述べていきます。少し遅れてとはなりますが、このホームペーにも掲載いたします


インテリ系の私の友人は、金美齢氏とは正反対の意見を私にメールしてきた。


『4月5日のNHKスペシャルは、日本の近代化を改めて振り返るシリーズの第一回目にあたるものだと思いますが、なかなか良くできたバランスのとれたテレビ番組だと思います。
時代はまさに帝国主義の時代。一等国の植民地支配を肯定する当時の世界常識、最後に列強に並んだ日本、その後の民族自決の考え方など、番組つくりににあたって、十分に目配りができていたと思います。さすがHNKです。
Mixi上の議論で、「激怒している人が多い」とのことですが、本当に激怒したいのはあのお年寄りたちでしょう。親日家が多いといわれている台湾でも、日本のかっての植民地支配、同化政策は反省すべき点でしょう。あのテレビ番組に植民地支配の良い面が出ていないといって、NHKを攻撃するのは筋違いです。
また、「自虐史観の克服」からも、過去の誤りは誤りとして認め再出発すべきだと思います。これを「意図的な番組づくり」などと、いちゃもんをつけるのはもういい加減にやめたほうがいいですよ。』


祖国・台湾が今や”合法的に”中国に併呑されようとしていることに危機感を覚える金美齢氏と、進歩的なインテリ日本人との落差は、このように大きい。
平和な日本では、理念だけで何でも言えるということか。本当に幸せな国だ、今のところは…・。

 

 

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「アジアの”一等国”」偏向報道問題に対するNHKの回答

2009年04月11日 10時34分32秒 | マスメディア

 NHKスペシャル「シリーズJAPAN アジアの”一等国”」(4月5日放送)に対しては、その内容が史実を歪め、日台交流を阻害するものとして、「日本李登輝友の会」をはじめとする団体、個人がNHKに抗議を申し入れている。
今朝の「産経新聞」には、「日本李登輝友の会」の抗議声明を次のように採り上げている。


Nスペに「李登輝友の会」が抗議声明

2009.4.10 20:38   【産経新聞】

このニュースのトピックス:メディア倫理

 NHK総合テレビが5日に放送した「NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー 第1回『アジアの“一等国”』」の内容が偏向していたとして、日本李登輝友の会(小田村四郎会長)は10日、福地茂雄NHK会長あてに抗議声明を出した。

 番組では、日清戦争後の日本による台湾統治について、一等国を目指して統治の成功を海外に誇示したものの、日台間の格差と同化という矛盾を抱え、やがて皇民化運動で日本文化を強制した-などとした。

 この放送に対し、声明は「日本が一方的に台湾人を弾圧したとするような史観で番組を制作することは、公共放送として許されるべきではない」とした。

 NHK広報局は「歴史を振り返り、未来へのヒントにしたいという番組の趣旨を説明し、理解していただきたいと考えています」としている。

 

個人的に抗議を申し入れ、NHKから回答をもらった人もいる。台湾との交流も長く、台湾を知り尽くしているT.L氏。
T.L氏がMixi上で抗議の顛末を説明しているので、NHK側の回答文を転載させていただくことにする。


【NHKから届いた回答文書】

T.L 様 いつもNHKの番組やニュースをご覧いただき、ありがとうございます。お問い合わせの件についてご連絡いたします。 ご指摘の通り、当時の台湾では、台湾語(閩南語)、客家語、各原住民の言語が存在していました。言語学上、台湾語は福建省で話される閩南語から派生した言語とされ、閩南語は中国語の一方言として位置づけられています。 また、客家語も中国語の一方言です。台湾総督府の調査によれば、1930年代に自らを福建系(閩南語)と認識している人は、およそ70パーセント、広東系(客家語)と認識している人は十数パーセントいます。 客家の人びとは、自らの客家語という言葉を、台湾語と区別して使用しています。ですから当時の住民が「台湾語を話す」と表現すると、そこには客家語を話す人びとが含まれないことになります。 閩南語も客家語も、広く中国語(北京語ではなく)の一方言であること、さらに客家の方々の存在を考え、「中国語を話す」と表現しました。老人各位の話について、恣意的な編集は行っていません。 今後とも、NHKをご支援いただけますようお願いいたします。お便りありがとうございました。 NHKスペシャル番組センター 


【T.L氏がNHKに送った文面】


 先日の台湾の皇民化に関する報道に関し下記を指摘しますので速やかな回答を> 願います。
> 尚、回答無き場合は受信料支払を拒否し銀行の契約も解除します。> ①画面に中国語の文字が至る所に出ていたが当時の台湾に中国語は存在せず。 存在したのは台湾語、客気語、各原住民の言語だけで有り報道は偏った内容であり捏造とも取れる。
>②老人各位の話も途中で打ち切り真意を話そうとした途端、原住民の踊り に切り替え編集した。私は32年台湾との付き合いが有り嘘を交えた報道に対し怒りを覚えています



どう読みとるかは、各自の判断に委ねられるべきだが、この番組に対して大いなる異論、疑問が生じていることは、各メディアには報じる責任があるのではないか。この問題の所在を知らなければ、視聴者はNHKの番組を鵜呑みにしかねないのだ。

「朝日新聞」「TBS」などの「媚中」派的マスメディアは、台湾をめぐる問題には極めて冷淡だ。中国や沖縄に関しては、何かあれば「市民団体」と称する人たちの「市民の声」を採り上げ、世論誘導に躍起になるが、「李登輝友の会」の声明など決して採り上げようとしないのだ。 

 

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