NHKが8年前に放送した「戦争をどう裁くか」という番組は、ある”市民グループ”が天皇の戦争責任を模擬法廷で裁くという内容から大きな問題に発展した。その過程で、NHK幹部と政治家との接触があったかどうかがクローズアップされ、「報道の自由」が侵害されたかどうかが争点となっていた。
BPO(放送倫理・番組向上機構)の委員会は、「NHKの幹部が政治家に会ったり、改編を指示したりしたことは放送の自主・自律を危うくする行為であった」という意見を公表した。だが、それに対するNHKのコメントは、まさに噴飯ものである。
「放送した番組は、政治的圧力で改変されたり、国会議員の意図をそんたくした事実はありませんが、放送前に番組内容を国会議員などに説明することは無用の誤解を与える可能性が否定できず、いっそう留意していきたいと考えています。」
これは、お役所かどこかで聞いたような無責任な言いぐさだ。
4月5日に放送されたNHKスペシャル「アジアの”一等国”」は、上記の「戦争をどう裁くか」などとは比較にならないほど、重大な事実誤認や歪曲に満ちた番組だった。これに対し、自民党の中山成彬氏(元・文部科学大臣)などが、抗議を申し入れている。
「アジアの”一等国”」については、放送前に政治家が関与した事実はなく、TVを見た人たちがあまりの内容に抗議したというのが実情である。
であるので、中山氏や心ある人たちは、ぜひ、上記のBPO(放送倫理・番組向上機構)に当該番組がNHKの「公平性、中立性」を阻害し、特定勢力に加担するものだとして、提訴していただきたい。
評論家の勝谷氏もこのことを主張していた。
【BPO・放送倫理・番組向上機構の意見書にたいするNHKの見解】
NHKが8年前に放送した教育テレビの番組「戦争をどう裁くか」について、BPO=「放送倫理・番組向上機構」の委員会は、番組の制作過程で「NHKの幹部が政治家に会ったり、改編を指示したりしたことは放送の自主・自律を危うくする行為であった」とする意見を公表しました。
BPOの放送倫理検証委員会は、NHKが平成13年に教育テレビで放送した番組「戦争をどう裁くか」について、ことし1月から放送倫理の面から審議を進め、28日に意見を公表しました。この中で、委員会は「番組制作部門の幹部が、放送前に有力政治家と面談し改編指示を行ったことや、国会担当の局長が制作現場の責任者に改編を指示したことは、公共放送にとって最も重要な自主・自律を危うくし、視聴者に重大な疑念を抱かせる行為だった」と指摘しました。また「こうした改編によって、番組の質よりも安全が優先され、番組は完成度を欠き散漫になっていった」と述べています。これについて、NHKは「放送した番組は、政治的圧力で改変されたり、国会議員の意図をそんたくした事実はありませんが、放送前に番組内容を国会議員などに説明することは無用の誤解を与える可能性が否定できず、いっそう留意していきたいと考えています。『番組は完成度を欠き散漫』などと評価されたことは残念で、放送倫理上の観点から番組の質を論ずることに強い違和感を覚えます」というコメントを出しました。
【「アジアの”一等国”」に疑問をもつ方は、ぜひ、この番組を】
《米国から見た日本の台湾統治》