「台湾の香港化」に強い懸念 蔡英文・台湾民進党主席インタビュー
【台北=山本勲】台湾の野党第一党である民主進歩(民進)党党首の蔡英文主席は9日、党本部で産経新聞と会見し、馬英九・国民党政権の対中融和政策のもとで台湾が「香港化」することへの強い懸念を表明した。蔡主席は「台湾の民主・自由・人権の価値観に基づく政治体制」を守るためにも日米との関係を強化することの重要性を強調し、先月の訪日に続いて来月初旬に訪米する計画を明らかにした。
蔡英文主席との一問一答は以下の通り。
--馬英九政権の対外政策をどうみるか。昨年5月の政権発足直後、日本の巡視船と台湾遊漁船の衝突事故で日台関係が悪化した。馬政権はその後、「台日特別パートナーシップ」を唱えて対日関係の改善に努めているものの、真意に懐疑的な見方がなお根強いが
「馬英九氏は中国人意識の強い家庭に育ったため中国への親近感が特に強い。しかし、台湾の総統としては民主・自由・人権の価値観を共有する日米との関係を重視し、優先すべきだ。個人の感情で台湾の価値観や政治体制を犠牲にしないでもらいたい」
--返還前の香港に台湾が似てきている。中国はまず香港との経済・文化交流を拡大するなかで親中派勢力を形成、主権回復へのレールを固めた。台湾にも同じ戦略を取り始めたようだが、馬政権は対中交流拡大一辺倒で、こうした政治・安全保障面の警戒を欠いていないか
「私もその点を非常に心配している。現在の国民党政権の政治、経済エリート層の考え方は返還前後の香港のエリート層のそれと非常によく似ている。そうだとすれば台湾はこれからどんどん香港化する。台湾の指導者がなによりも重視すべきことは、台湾の民主・自由・人権を守ることだ」
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