澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

台湾、日本軍の特攻隊遺構を歴史遺産保存

2009年04月07日 15時45分38秒 | 台湾

また驚かされるニュース。台湾・宜蘭では、日本軍が遺した特攻隊の遺構を記念保存するという。
NHK特集「アジアの”一等国”」(4月5日)は、日本の台湾統治を採り上げ、極めて否定的に描いて見せた。これとは対照的に、台湾では、日本統治時代の歴史を正確に見つめ直そうという気運が強いようだ。
昨年9月、花蓮を訪れたとき、旧・日本人居住地が市の文化財として保存されているのをこの眼で確かめた。
同時期、瀋陽にも行ったが、ここには満鉄「アジア号」の最後の一両が、窓ガラスも割れた倉庫に放置されていた。「日本帝国主義」の「侵略証拠品」として。この違いはいったい何なのだろうか。真剣に考えなければならない問題だ。

 

台湾・宜蘭の歴史 後世へ  特攻隊遺構、施設に

退避壕(左後方)を生かした歴史文化施設(右後方)の建設に携わる郷公所の職員ら=台湾宜蘭県員山郷で(栗田秀之撮影)

写真

 【台北=栗田秀之】太平洋戦争末期の特攻隊関連施設が今も残る台湾東北部の宜蘭県員山郷で、出撃前の戦闘機を格納する退避壕(ごう)を活用して歴史文化施設を造る作業が進んでいる。郷内に点在する旧日本軍の遺構を通じて、郷土の歴史を将来に引き継ぐ計画だ。

 員山郷には退避壕のほか飛行場や地下壕跡などが現存している。飛行場からは一九四五年の戦争末期、特攻隊員たちが沖縄戦に出撃していった。

 郷公所(役所)によると、八年ほど前、退避壕がある土地の所有権が台湾国防部(国防省)から郷に移転される際、国防部は整地のために壕を取り壊そうとしたが地元住民が抗議して解体を免れた。

 その後郷公所は、壕を修復するとともに、隣接する形で歴史文化施設を建てることにした。全体をトーチカ(防御陣地)に見立て、戦闘機の機体や爆撃の跡などを随所に表現した現代的な建物が今年十月以降に完成する。内部には太平洋戦争の史料を展示し、このうち特攻隊関連の史料は退避壕内で見学できるようにする。

 郷内には「神風居」といった特攻隊の名称にちなんだ民宿もある。郷公所の林溪源主任秘書は「特に若い人に日本統治時代のふるさとの歴史を知ってもらいたい。将来的には遺構全体を整備して観光資源としても生かしたい」と話している。

 鹿児島県の知覧特攻平和会館館長だった愛知県犬山市犬山、板津忠正さん(84)は「私も、尊い犠牲の上に今の平和があることを若い人に伝えている。沖縄戦は北(知覧など)と南(台湾)で挟み撃ちした歴史があり、後世に残すことは意義がある」と指摘している 

 

 

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Forward Music (TW)

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NHKは中国の台湾工作に加担するのか? ~ NHKスペシャル「アジアの”一等国”」

2009年04月07日 14時03分21秒 | 台湾

4月5日、NHK・TVで「JAPANデビュー アジアの”一等国”」が放送された。この番組を再度ビデオで確認したが、さまざまな疑問が思い浮かんだ。

①映像を巡る疑問
 日本の台湾統治を象徴する写真の1枚として、万国博覧会に展示された台湾原住民の生活展示を「人間動物園」と題して紹介している。これは、台湾原住民を万国博覧会に連れて行き、生活展示したものだが、このような手法は、欧米列強のやり方を模倣したものに過ぎず、特に残虐だとか、非人道的だとか言われるべきものではない。それよりも、この「人間動物園」という衝撃的なタイトルとこの写真が、視聴者に与える誤解の方がよほど問題なのではないかと思われる。
 後藤新平が、台湾の近代化、社会開発に貢献した史実の紹介も、この1枚の写真ですべて帳消しになってしまいかねない。NHKは、そういう視覚的効果を十分知りながら、何故、この映像を流したのか、ぜひ訊いてみたいところだ。


②旧制・台北第一中学同窓会での発言内容
 旧制・台北第一中学OBである台湾人の発言をNHKは恣意的に編集したのではないかという疑いがぬぐいきれない。
 「台湾人の進学率は3%に過ぎなかった」「進学・就職・出世、すべての面で台湾人は差別されていた」「日本語で物事を考える人間にされてしまった」等々、日本統治時代に対するネガティブな発言がクローズアップされていたが、奇妙なことに、彼らが「二・二八事件」について言及する場面は放送されなかった。彼らがこの事件について何も語らなかったなどとは、到底信じられない。何を語ったのかきちんと採り上げるべきではないか。多分彼らは、日本統治時代を批判しているのではなく、国民党による「白色テロ」の時代に日本が何もしてくれなかったことを非難しているのである。その点が故意に歪曲されているのではないかと推測する。
 NHKは、はじめから日本の台湾統治のマイナス面を拾い上げるという編集方針でこのインタビューを使ったのではないかと疑う。
 現にMixiの台湾関連コミュニティでは、この同窓会に参加した人が「私たちの真意が伝わっていない」と発言したと伝えられている。


③何故、中国に遠慮するのか?
 番組では、日本は「皇民化」の過程で、「中国語」を禁止し、日本語を強要したと説明している。何故、「中国語」とわざわざ言うのだろうか?正確には「台湾語」であるはずだ。このように、至るところに、中国からのクレームを避けようとする意図が見え隠れするのだ。その結果として、視聴者には歴史の細部が見えなくなってしまうのである。


④なぜまっさきに「皇民化」なのか?
 これから何年も続くらしい、このNHKスペシャルの第1回に何故「皇民化」をとりあげるのだろうか?
 ふと考えるのは、誰かがこの放送をDVDに入れて、台湾人に大量に配ったとしたら…ということ。「親日的」とされる台湾人でも、日本を代表する「国営放送」がこういう番組を制作したとなれば、その内容を信じてしまうのではないかという恐れをいだいた。両岸関係委員会の中国側代表・陳雲林が、映画「海角七号」を「皇民化の大毒草」と評したのはよく知られているが、このNHKスペシャルは、そうした中国側の意図をくみ取って(?)作られたとも読みとれるのだ。
 台湾では、200万人が映画館に足を運んだという映画「海角七号」(2008年)。そこには、日本統治時代を非難するどころか、「…棄てたのではない、泣く泣く手放したのだ」という日本語のナレーションが流れ、日本統治時代からの日台の”絆”が謳われている。だが、この映画は、日本での公開予定さえ立っていないのだ。
 現在の台湾は、言論の自由、自由選挙などが保証されている民主主義国家であり、共産党独裁の大陸中国とは全く異なる国だ。台湾人は日本人と同様の政治的、経済的自由を享受している。その台湾人が、日本統治時代の功罪を冷静に理解しようと努めている矢先に、NHKは「日本はこんなにも悪いことをいたしました」と放送したのだ。このことが日台関係に及ぼす悪影響は、計り知れないものがあるだろう。そして、それを喜ぶのは誰かといえば、中国に他ならない。

 結果として、このNHK番組は、台湾人の「親日感情」をことさら傷つけ、大陸中国の対台湾統一工作に加担するものだ、と言われても仕方ないだろう。