澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

NHKスペシャル「アジアの”一等国”」を批判する政治家たち

2009年04月26日 01時32分16秒 | マスメディア

4月24日付「産経新聞」に「NHKが反日偏向番組」と題する次のような記事が出ている。


「自民党町村派の23日の総会で、NHK番組(「アジアの”一等国”」)について批判が相次いだ。番組は日本の台湾統治を採り上げたが、稲田朋美衆院議員は「台湾は李登輝元総統など親日家が多いのに番組は反日の部分だけを偏向して報じた」と批判。町村信孝前官房長官も「番組を見たが率直に言って首をかしげた」と同調した。阿倍晋三元首相は「週刊新潮も取り上げたが、番組はひどすぎる。関心を持ってこのシリーズを見てほしい」と呼びかけた。
中山成彬元文部科学相も記者団に、自らが会長を務める議連”日本の前途と歴史教育を考える議員の会”としてNHKへ公開質問状をだす意向を示した。」

今回のNHKスペシャルに関しては、私も上記の方々と同意見なのだが、心配になるのは、この問題の今後の行方だ。NHKだけでなく、多くのマスメディアが「言論・報道の自由」という錦の御旗を掲げて騒ぎ出し、あらぬ方向に進んでしまうのではないかという懸念がある。

今回の問題を詳しく報じているというので、インターネットで「桜チャンネル」を初めて見た。ふだんTVでは見かけない方々や、右派系の大学教授、評論家などが、NHKの偏向ぶりを詳しく検証しているのだが、一般人から見れば、彼らはやはり「右翼」に見えるだろう。
出演者の中には許世楷氏(津田塾大学名誉教授)のように、識見、学問的業績ともに優れた方も見受けられた。許氏は永らく台湾独立運動を続けてきたので、蒋介石時代の台湾とは敵対関係にあった方だ。その許氏がいま、かつて蒋介石を”反共の友”として支持していた「右翼」の人たちと一緒になってNHKの偏向報道を非難するというのも、何か歴史の皮肉を見る思いだ。

あえて言うならば、現在NHK報道を攻撃する「右翼」の方々は、蒋介石政権下で弾圧されてきた本省人の気持ちを本当に理解しようとしてきたのかどうかが問われていると思う。台湾が民主化され、親日的な李登輝氏が出現した。これは奇跡的で、われわれ日本人も歓迎すべきことだ。だが、その尻馬に乗って「台湾支持」を唱えるだけでは、NHKと同様のご都合主義であることには変わりはない。

自民党右派の政治家がNHKの偏向ぶりを批判すると、当然、それに対する反発も生まれ、かえって逆効果になるのではないかと心配になってくる。

ちなみに、NHKよりもアメリカのTV局が制作した番組「知られざる台湾」(ディスカバリー・チャンネルで放送中)の方が、ずっと的確に日本の台湾統治を伝えているので、ぜひ、ご覧いただきたい。


【米国から見た日本の台湾統治~ディスカバリー・チャンネルで放送中の映像から】(youtube映像)↓
http://www.youtube.com/watch?v=YG9HvrgwmaM