週末3日間、微熱が下がらず、昨夜は39.8℃まで上がった。熱の低いうちはF錠を服用、高熱になるとR錠を飲んでいる。特効薬で、炎症を起こすたびに服用していたが、最近はこの抗生物質の副作用を心配している。
何とか熱が下がったが、薬で抑えられているようだ。退院後も、週に2,3度の頻繁な発熱を心配している。医者へ行けば、絶食点滴だ。先の不安は消えない。
爽やかな庭に出ると、ウスバシロチョウがふわふわと舞ってきた。今年初めてだった。爽やかに吹き来る緑の風に少年の日々がほのかに蘇ってきた。
早速、旧滝沢峠にウスバシロチョウの舞う姿を見に出かけた。車で5,6分、峠の緑はもう初夏、かすかに頬を撫でる爽やかな風が気持ちよかった。
林の間を二、三十頭のウスバシロチョウが静かに可憐に舞っている。「たおやかに」という表現がぴったりで、今年も大好きな飛翔をゆっくり楽しむことができた。
今年の発生は昨年と比べると遅いような気がした。昨年満開のセイヨウカラシナは、今年はもうすでに終わり、ハルジョオンが盛りだ。また、ウスバシロチョウの食草ムラサキケマンの紅色の花もう散っていた。ハルジョオンの花にゆったりと蜜を吸うウスバシロチョウとゆっくりと楽園で遊んだ。
カメラと野帳を手に寝ころぶ。一人目を瞑り、風の音や香り、初夏の空間をこころから感じた。
四十五億年もの気の遠くなる歳月が造った万物のバランスを思う。そして、営々と生き延びたウスバシロチョウを愛おしく思いつつ、あらためて人と自然の関わりを考えた。
地球環境保全の対象としてのハードな自然と共に、こうした生き物の観察から生まれる感動の対象としてのソフトな自然を思った。自然に包まれ、自然を観察し、知覚することから自然保護の思想が生まれるのだろう。
蝶に魅せられた少年の日の爽やかな思い、再びかえらぬ青春はやはりまぼろしであったのか。今老いた心で、遠き日のあまりに豊かな春を誰に語ればいいのだろうか。
