a.m7:32
a.m7:34 2F窓から
秋になると若山牧水の歌を思い浮かべる。
「白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしずかに飲むべかりけり」と。
また酒の歌人は「それほどにうまきかと人のといたらばなんと答へむこの酒の味」と詠う。
これは、まさに身体を心配しながら飲む自分にも当てはまる問いで、何と答えようもないのも同じだ。
牧水は、酒は口で味わう「うまさ」と心で噛みしめる「味わい」を持っていると言う。
秋の夜長、心を噛みしめてしずかに飲みたいものだ。
「幾山河越え去り行かば寂しさの終てなむ国ぞ今日も旅ゆく」と詠う牧水は、
人の心には取り去ることの出来ない寂寥が棲んでいると言う。
私はこの寂寥感が好きでたまらない。
もう猪苗代湖にハクチョウが飛来した。
「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよう」も大好きな歌だ。
ほどなく、遙か磐梯の雪景色に、湖水の青にも染まず漂うハクチョウの姿に感動する季節が訪れる。