猪苗代方面の里山を巡るときには、お昼は決まって、強清水の蕎麦屋か湖畔の中華料理店になる。
月曜日はいつもの蕎麦屋は〈うどんの日〉で、格安でおいしい天ぷらうどんが食べられる。
夏の時期は冷たく、涼しくなれば温かいうどんを、そして天ぷらは大好きなニシンにしてもらっている。
湖畔の中華の店では、何年も前から長い間〈五目旨煮そば〉だけの注文、湖を眺めながらのくつろぎのひとときとなる。
すっかり秋も深まり、ワレモコウやススキの穂が風に揺れている。
虫の音もか細くなり、そこここにミドリヒョウモンやウラギンヒョウモンが傷んだ羽を休めていた。
静寂の中、ノシメトンボ、マダラナニワトンボが盛んに産卵中だ。いずれも連結しながら、湖畔の湿地上に打空産卵。
池まで距離、孵化した幼虫にとってはかなりの試練だ。 ヤゴが無事に育ち、来年元気に飛び立って欲しいと願うばかりだ。
風に揺れる野菊、薄紫のヨメナに混じって白い花がある。
葉の縁を観察するとシロヨメナのようだ。葉の切れ込み、ギザギザの違いで判別しようとするが、むずかしい。
また、遠くから群れて見える白い花はゴマナだろう。この仲間には、他にノコンギク、ヤマシロギクなどがある。
ヨメナ
シロヨメナ?
ゴマナ?
民子が好きだった野菊はノコンギクだと思う。民子が政夫にあげたりんどうが一輪咲いていた。伊藤左千夫の切ない物語を思った。