コハクチョウに別れを告げに崎川浜を訪ねた。
何年も繰り返す別れだったのに、静寂の春の湖にもうコハクチョウの姿はなかった。
いつも互いの健康を約束し、穏やかな無事の旅路を願っての別れがあったのに、今年の北帰行は少し早かった。
カーウ、カーウと叫び会うコハクチョウが浮かんできた。
紺碧の湖水の彼方に浮かぶ磐梯がもやにかすんでいる。
北のふるさとを目指した彼女らはしばし遊んだ第2のふるさと猪苗代湖と麗しの磐梯を、きっと脳裏に留めただろう。
ばしの別れだ。また秋に元気で戻って来いと、再会を願った。
風は冷たいが、めっきり春を感じる湖畔に、やがてハクチョウの後を追うオナガガモの集団が長旅に備えて休んでいるようだった。
それでもと、湖畔を離れ翁島の広い雪原にコハクチョウを訪ねたが、ふるさとの流れの向こうに秀峰が聳えるだけだった。
の霞にはっきりしない見えなかった磐梯が、はっきり見え始めた。しばらく雄大な絶景に見とれて佇んだ。
大好きな風景
帰りに、うっすら雪の残る土手のフキノトウをひとつかみ採ってきた。
夕食にフキ味噌が並んだ。
トサミズキ