エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

ジャコウアゲハの産卵

2011-06-09 | 自然観察

庭にジャコウアゲハが低空飛翔していた。
我が家には、庭に食草のウマノスズクサがある。数年前、Hさんから一株貰ったもの、毎年山椒の木にヒョロヒョロと伸びて絡まり、花も咲かせている。
 今年も、春もずいぶん遅くになって芽を出し、3本の芽が伸びた。
 この庭のわずかな食草を見つけて、ジャコウアゲハが卵を産んでいった。





 嬉しかった。カメラを手に、しばらく産卵行動を見ていた。
 ウマノスズクサの植わている西側の庭を、数十分ゆっくり飛んで回った。
 アジサイ、キク、ヤマボウシ・・・、周囲のあらゆる葉を前脚でさわりながら、これも違う、どこにあるのかと、警戒することもなく産み場所を探していた。



 このいっぱいの緑の中で、彼女はどうやってウマノスズクサを識別できるのだろうか。
 チョウやハエなどは、口器の表面や先端の他に、前脚の先端にも味覚器官が存在するらしい。
 前脚で葉に触れ判別していることがよくわかった。
 わずかに開いたウマノスズクサの小さい葉に産卵するところを認め、シャターを切った。





 ツルは長いが、開いた葉は少ない。数枚、葉の裏に生み付けられた赤みがかった卵を見つけた。
 


 産み付けられた3粒を認めたが、わずかな食草に、これから葉は十分だろうか心配になった。
 何とか成長して旅立って欲しい。しばらく楽しみに見守っていきたい。 (2011.6.8)

日記@BlogRanking


赤井谷地湿原の危機

2011-06-08 | 環境問題

赤井谷地沼野植物群落は、猪苗代湖の西岸に位置する標高約520mに広がる高層湿原で、昭和3年に国の天然記念物に指定された。
 先日、湿原の西側の道を歩いたら、道には砂利が入れられ、山側に側溝を敷設する工事をしていた。
 実は昨年の秋、道の脇の林の木々に赤いテープで印が付けられていた。瞬間、道路拡張?、伐採されるのか?と心配になった。
 冬を越して、その不安は現実となっていた。
また、驚いたことに、道路脇の一部にかなりの量の粗大ゴミが埋められているではないか。
 多分、以前から林に捨てられていた不法投棄のゴミを,一時道路工事の際に集めておくのだろうと希望的に推測した。
 作業中の市の水道課の方に現状を訴え、併せてこの道路の必要性などについて聞いてみたが、よくわからないようだった。



 道路のこと以外に、以前から湿原の乾燥化に危機感を持っていたからだ。
 自然の遷移であれば納得できるが、明らかにここ数十年の歴史の中での人為的な環境破壊だと思っている。
 今ともかく、湿原言の水位の低下を防がなければならないと思っている。

  ウィキペディアの「赤井谷地沼野植物群落」には、
【特徴として、○北方系植物の遺存 や、○陸化型高層湿原など貴重な自然であることと共に、
 ○湿原保存整備事業として 最近の湿地乾燥化の経緯や現況の問題点が書かれていた。
 今後、赤井谷地湿原の保全対策を担当する教育委員会へ出向いて、いろいろお聞きしたいと思っている。

 
 毎年時期になると、限られた空間に細々と棲息するアマゴイルリトンボや、絶滅が危惧されているマダラナニワトンボを確認に、
 湿原の周囲を巡っていた。

アマゴイルリトンボ




 数年前まで見られたモートンイトトンボは姿を消してしまったようだ。
 今何とか生きながらえているマダラナニワトンボやアマゴイルリトンボなども心配だ。
 乾燥化によって植生は当然だが、豊かな湿原に何万年も前から生き続けてきたトンボを絶滅させてはならない。

 モートンイトトンボ





日記@BlogRanking

カワトンボ

2011-06-07 | 昆虫

カワトンボも興味深い。
最近のDNA鑑定によると、これまでのオオカワトンボとヒガシカワトンボは同種として扱われ、ニシカワトンボはアサヒナカワトンボと改称されたようだ。
会津ではニホンカワトンボだけが分布していると考えればいい。

翅も橙色翅、淡橙色翅、無色透明翅があり、また、♂、♀や成熟、未成熟の違いがある。
なかなかむずかしいものだ。
♂の縁紋の赤色が魅力的だ。輝く金属色の緑色が美しい。

 ♀

 ♂


 橙色翅

 

日記@BlogRanking

叶わぬ願い

2011-06-06 | 日々の生活

庭から高校生の明るい躍動が聞こえてくる
ソフトボールの高体連の予選だろうか 
心からの喜びあふれる声援、
今青春のただ中にある若人の血潮が静寂にこだまする

確かにあった我が青春
それは,いつしかつかの間に過ぎていった
若かりしころが浮かんで しきりに昔が懐かしい

日頃見つめていた部活動の賑やかなかけ声が
いまこの張り詰めた対戦に収斂する

出来ることなら若いときに戻りたい
あたらしい画用紙に、もう一度すべてを画き直してみたい

我が身老いれば
時が、かつて意識したことのない速さで流れて行く
つかの間の人生を、時の流れを見つめた。
                       (2011.6.5)

日記@BlogRanking

オゼイトトンボ

2011-06-05 | 昆虫

 今日はエゾとオゼイトトンボをしっかり確認しようと思った。
腹部第二節の模様で見分けるが、エゾイトトンボの♂はスペード形、オゼイトトンボの♂はワイングラス形の模様をしている。
エゾが連結して産卵していた。
メスは、黄色で♂のような模様はないことが確認できた。

エゾ♂


エゾ♂未成熟


エゾ♀




エゾ連結


イトトンボ科のクロイトトンボ属 とエゾイトトンボ属 はどれもよく似ていて同定が難しい。
これらは成熟、未成熟、♂♀で色彩や斑紋が異なるので、撮ってきた写真で試行錯誤しながら同定している。
まずは胸側の第1黒条の先端が円い感じか,膨らむか,または少し離れて点があるかなどで判定している。

クロイトトンボ属には、クロイトトンボ、オオイトトンボ、ムスジイトトンボ、セスジイトトンボがいる。
エゾイトトンボ属には.オゼイトトンボ、エゾイトトンボの他、北海道だけに分布するキタイトトンボ、カラフトイトトンボがいる。
 今、エゾとオゼがいるが、オゼの発生が少し遅いようだ。

オゼイトトンボ♂


羽化後間もないオゼイトトンボ♂


オゼイトトンボ♂ 拡大


オゼイトトンボ ブルーが出てきた


アマゴイルリトンボも少ないが発生していた。

♂未成熟



♂未成熟

オツネントンボは産卵が5月の連休明け頃と思っていたが、まだかなりの個体に会えた。
晩秋に見かけるよりも、体色が濃くなっている。
今年はあきらめていたホソミオツネントンボにも会えた。
春になってから青い色が表れるが更に綺麗に変わる。

オツネントンボ






ホソミオツネントンボ



日記@BlogRanking


コサナエに再会

2011-06-03 | 昆虫
                 【アヤメにヨツボシトンボ】


先日の里山巡りで、今年もコサナエに再会した。
フキの葉に止まり、ゆっくり羽を休めていた。







今日はペアに出会った。この♂、♀の色合いの違いがはっきりわかった。


ウスバシロチョウが緩やかに舞っていた。
産卵場所を探して付近には食草のムラサキケマンが終わりかけていた。
産卵の瞬間を見たいと、しばらく観察していた。
ウスバは、食草そのものには生まず、ふかして食草にたどり着けたものだけが生き残るらしい。
種に与えられた一つの子孫存続の知恵なのだろう。
♀はだいぶ羽が傷んでいるようだ。寒冷地でときどきかける、少し黒が強い個体もいた。

【ウスバシロチョウ 黒化型】


いつも出迎えてくれた,冬を越したクジャクは姿を消したようだ。
代わって、ヒメウラナミジャノメ、ダイミョウセセリは今年初めて見かけた。
コミスジが給水に訪れた。

【ヒメウラナミジャノメ】


【ダイミョウセセリ】


【コミスジ】


ヒメシャガにコハナムグリが夢中で花粉を食べていた。
 横を見ると、イタドリの葉にオレンジの紋の入ったおなじみのイタドリハムシが止まっていた。
 また、鮮やかな赤がきれいなアカヘリサシガメにも会えた。

【ヒメシャガにコハナムグリ】


【イタドリハムシ】


【アカヘリサシガメ】


 ニワハンミョウが道を教えてくれた。
 【怖くてひょうきんなニワハンミョウ】


いよいよ虫たちの季節が本番を迎えた。






日記@BlogRanking
 

日帰りバスツアー

2011-06-02 | 旅行

      【長瀞 岩畳】


きのう、妻と日帰りバスツアー『小江戸散策 川越&長瀞 岩畳とハナビシソウ園』に参加した。

何の心配もなくバスに揺られながら、思い巡らせた。
 大病から生かされ8年、はじめの5年間は毎月1度、その後は3月に一度、検診を受けに神奈川の病院まで高速バスに揺られた。
 数十回の通い慣れた高速バスの旅だった。
 車窓から朝ぼらけの磐梯山をながめながら、その頃の辛い思いが蘇ってきた。
 のどかな田園風景に、取り戻した健康が今更ながらありがたく、あらためてこれまでお世話になった周囲に感謝の念がわいてきた。

7時前に高速道に入り、磐越道、東北道、北関東道、関越道を走った。
 あたらしい高速道路MAPを見ながら,地域の景色を眺めた。
 約4時間、ようやく花園ICを出て長瀞へ到着、少し早かったが準備された昼食の竹善料理をいただいた。

 メニューのハナビシソウはまだ咲いていなかったので、近くの寶登山神社に参拝した。
「千古の霊場」と詠われるこの神社は、昨年136年ぶりの大改修がされ、彩色された本殿の彫刻は豪華絢爛だった。







 いよいよ長瀞の岩畳を見ることが出来た。
 変成岩帯が地表に露出し、隆起した結晶片岩が文字どおり岩畳となって広がる風景は、自然が創り出した美しい芸術品だった。





この「岩畳」は1924(大正14)年の指定の名勝・天然記念物で、その指定解説文に
『結晶片岩ヨリ成レル峽谷ニシテ兩岸絶壁ヲナシ勝景ノ地タルト共ニ結晶片岩能ク露出シ且ツ本邦ニ特有ノ紅廉片岩ヲ見ルヘク或ハ層埋ニ沿ヒ或ハ之ニ直角ニ種々ノ浸蝕ノ痕跡アル外地層ノ褶曲斷層明カニシテ特ニ褶曲ニハ其ノ種類多ク斷層ニ基因セル鏡肌アリ蓋シ結晶片岩地方ノ峽谷トシテハ關東ニ於ケル代表的ノモノタルノミナラズ前記ノ如ク各種ノ天然紀念物アリ』とある。
地下20㎞の深さに相当する6000~7000気圧、200~300℃で作られたものが、造山運動により地表に顔を出したのが、この長瀞渓谷である。

 大正5(1916)年、この地を訪れた宮沢賢治
”つくづくと「粋なもやうの博多帯」荒川ぎしの片岩のいろ”と詠んでいる。
 岩石が薄くはがれやすい「片理」や多数の割れ目「節理」、荒川の浸食によって造られたこれらの造形は実に美しかった。
 希望していた船下りも、昨日までの雨で水かさが多く中止となってしまった。
 曇り空からポツリポツリ、濁った荒川の流れの端、岩畳付近をゆっくり散策した。

 次の目的地は川越へ、
シンボル「時の鐘」は環境庁主催の「残したい日本の音風景百選」に選ばれた。
そのシンボルや、江戸時代の風情を見せる蔵造りの町並みを巡った。



蔵造り資料館を見て、度重なる大火に、類焼を防ぐ為の巧妙な耐火建築が江戸の町や様式として発達したことを知った。
重厚な蔵づくりの建物の並ぶ一番街から、菓子屋横町などを巡り、妻は、目のない甘いお菓子を土産に沢山買い込んだ。
 観光パンフレットには「時(とき)薫るまち 川越」とあった。



 バスに揺られる時間が長く、さすがにおしりが痛くなるくらいだったが、久しぶりにのんびりした時を過ごし無事に帰宅した。


日記@BlogRanking

エゾイトトンボ

2011-06-01 | 昆虫

       
 越冬したオツネントンボが姿を消した。
昨年ペアを観察したホソミオツネントンボは今年は見ることができなかった。
いま、里山には何頭ものエゾイトトンボがスイスイと舞っている。
あざやかな水色hいつ見ても美しくこころが洗われる。

【エゾイトトンボ 成熟♂】


結構敏感で、近づくとスイスイと移動するが、小さな虫を捕らえ食事中は、近くまで寄ることが出来る。

【成熟 ♂】


時折、カゲロウのように羽をひらひら輝かせて飛ぶ個体を見る。
斑紋からこれは羽化したばかりの、まだ発色しない未成熟の♂ではないだろうか。

【エゾイトトンボ 未成熟♂】


そして、青色の♂にくらべて地味なのは♀だろう。

【エゾイトトンボ 成熟♀?】


でも、近くに黄色い個体を見かけたが、これが♀の成熟体だろうか。
まだまだわからないエゾイトトンボである。

【こっちがエゾイトトンボ 成熟♀?】




また、これも少し違うようだ。
眼後紋は同じ西洋なし型、後頭条も同じようだが、腹部第2節の背面模様や第8,9節紋が異なる。
オオイトトンボだろうか。

【オオイトトンボ♀?】


イトトンボやサナエトンボの仲間などは、まだはっきり同定できない。
専門的には胸の黒条、第2節,8,9節の黒紋、翅脈や生殖器などで見分けるようだが、むづかしい。
いずれにしても、写真に撮って後からいろいろ考察するのは楽しい。 
 

日記@BlogRanking