■初めての乗船■
年が明け、初釣りとなった。
近頃すっかり磯釣りには縁遠くなって、専ら沖釣りへ向かっているが、初釣りもその例に漏れず、乗船したのは大海丸(たいかいまる)という、西舞鶴の和田地区というところから出港している釣り船だ。
以前、この大海丸と同じ桟橋から出船する僚船によく乗船していた。二船は帰港した際にお互いの船の釣果を確認しあったりしていたのだが、その際、大海丸を「よく釣らせる船だ」と感じていたし、一般に評価も高いようだった。時は流れ、その僚船は廃業してしまったが、縁あって今回はその大海丸に初乗船となった次第だ。

■まずはメダイ狙いのハズが…■
当日は「冬の日本海側としては、少しはマシ」な状態ではあったが、そうはいっても空は鉛色に近く、波高も1.5m近かった。そんな冬型の気圧配置が少し緩んだ天候の中、舞鶴湾を出た大海丸は冠島と経ヶ岬の中間あたりへ向かった。

これは、予め船長に「まずはメダイを」との希望を伝えていたためで、まずはその辺りの魚礁に回遊するであろう、そのメダイを狙ってのことだ。
実釣開始。天秤ズボ仕掛をセットし、まずは水深100mからハリス分5mを切ったタナを攻めた。勿論ここでエサ取り達にエサを取られれば5mずつタナを上げてゆくつもりだった。
普段のマダイ狙いで8mから長くて20mを使っている人からすれば、「ハリスが5m」というと、短く感じるかも知れないが、マキエサの周囲でエサを拾うマダイと違ってメダイはマキエサに突っ込んで来る習性があるので、短めにしないとアタリが遠退くからだ。
サシエサには当初、2本バリの両方にオキアミを装餌し、取られ具合によって、イカの短冊、ホタルイカ、サンマの切り身と交換して様子を伺うことにした。
仕掛を狙ったタナの3m下まで降ろし、そこで大きく竿をしゃくって一度カゴのマキエサを振り出す。次に、3m巻き上げて狙ったタナで二度目の振り出しを行ったら竿受けにセットしてアタリを待つ。ここから6分のインターバルで仕掛を回収するつもりなのだが、その中間の3分でもう一度マキエサの振り出しを行う。そして再びアタリを待つのだが、二度目の振り出しを行った直後に竿先から絞り込まれていった。
最初の一投からのアタりに胸が一瞬高鳴ったが、引き自体は大したことはなく、すぐにメダイではないと判断できた。案の定、上がってきたのは中小型のマダイだった。

続いて兄の竿も舞い込んで、ボクの釣ったサイズよりも一回り大きなマダイを仕留めた。

出来過ぎのスタートに驚くが、こういった場合は野球のスコアで言うところの「隅一(すみいち)」になることが多く、いつものようにイヤな予感が漂っていた。そしてその予感が現実のモノとなってゆく…。それ以降、少しエサ取りが増えたかと思ったが、それが収まるとエサが残りっぱなしの状態が続くようになってしまったのだ。
■今年初のメダイ■
不調になった原因は色々とあろうが、風と潮流と野向が互いに真逆に近い状態であることが一番であると考えられた。その影響で船の左右へのブレが激しく、見た感じでは風の強弱によって30m近くもポイントからズレてしまうのだ。
しかし、自然現象なので致し方なく、こちらとしては黙って仕掛を打ち返すしか手立てがないのだが、これが2時間近くも続いた。辛い時間を過ごす中、丁度沖合の冠島の二島の中心に船が収まる辺りで、ようやく竿先がふわっと動いた後に大きく舞い込んでいった。
「このアタリはメダイに違いない。」と思った矢先、強烈なファーストランが始まった。それをいなしてこちらが逆襲体制を取った途端、道糸から伝わる生命感が無くなった。不運にもハリ外れだった。
食ってきたのは上バリに装餌していたイカの短冊だったから、メダイの回遊を確信した以後は、それのみを装餌して次のアタリを待ち構えていたが、そこから1時間、またもや沈黙の時間が続いた。
そして再び先ほどと同じ位置に船が落ち着いた途端に同様のアタリがボクの竿を襲った。
サイズ的には特大ではないものの、何度も繰り返すしつこい締め込みはメダイに違いなく、慎重にやりとりを繰り返す。

貴重な魚の引きを味わいつつ、無事にゲットできたのは紛れもない待望のメダイだった。

しかし、続くアタリは皆無だった。隣で頑張る兄も同様だったが、メダイの味を知っているだけに、また、家で野菜のみを買って鍋を構えている家族のためにも諦めるわけにはいかない。
なんとか粘ってみるものの、あまりのアタリの無さにとうとうギブアップの時間がやってきた。
■フカセ場へ■
時間は午後二時半を過ぎていた。船長と相談の結果、冠島の周囲で完全フカセ釣りを行い、様子を見ることになった。

この頃、北西からの風が少し強さを増していたため、風裏になる小島の東側の水深45mラインで竿を出すことになった。
アンカーを入れ船が落ち着くと早速マキエサを巻き始めるが、最悪にも船首につながれたアンカーロープの方向に流れる潮だった。
それでも「島に沿って流れてくれれば大丈夫」という、船長の言葉を信じて仕掛の投入を開始する。
潮流は遅く、一流しあたりにかかる時間は長く、イライラさせられたが、一投目は65mで回収した。餌が残ったので次は80mまで流す。今度は餌を取られたので、次はサルカン部に発泡ウキの6番を入れ、仕掛の浮力を上げて、やや上のタナを流れるようにする。
そして、この仕掛を65m送り込んだ時、アラーム音と共にリールが急速逆転を始めた。指でスプールを押さえ、クラッチを入れてやり取りを開始する。しかし、アンカーロープの方向に魚が居るだけに、こういった場合は半ば強引なやり取りが必要になってくる。その締め込みから、青物の予感が始めから漂っていたから、巻き上げ速度を早めにしつつもドラグの調整を繰り返して相手との距離を詰めてゆく。
やがて船縁まで来た魚を船長が確認し、
「おめでとう、本命のヒラマサです。」という言葉が漏れた瞬間、嬉しさがこみ上げてきた。

しかし、またもや後が続かなかった。
流せども流せどもアタリが無いばかりか、エサすら取られないようになり、それどころかやがては流した仕掛が根掛かりしたり、アンカーロープに巻き付いたりのトラブルが続発し始めた。そして、釣りならない状態に嫌気が差して、またもやメダイ狙いの深場への移動が始まった。
■生命感ゼロ■
移動したのは75mラインの魚礁だった。
「さぁ、戦闘再開」と意気込んだものの、ボクの場合悪い方によく当たる天気予報通りに雨が降り始めた。しかも次第に雨脚は強くなっていった。

一般の人であればこんな状況下で外に立つ、ましてや船に揺られながらなんてことはバカ以外に思えないだろうけど、その通りの我ら釣りバカ兄弟は懸命に釣り続けた。
しかし、エサは取られず、それどころか海からの生命反応を全く感じない状況だった。そして雨音が変わったと思った途端、雨は雹(ひょうう)と変わって指先が凍えるようになり、「これ以上の継続は無理」と判断してこの日の釣りが終わった。
■振り返って■
この日は逆潮が続き、終始釣り辛かったが、それに加えて水温低下でもあったのだろうか?、完全な食い渋りでアタリが続かず、朝一以外は全て単発であった。そんな状況下であっても、天秤ズボ釣りでの本命魚であるメダイと完全フカセ釣りでの本命魚であるヒラマサを各一ながらゲットできたことは「幸先良い」と判断しても良いのかも知れない。
今年も沖釣りでスタートしたワケだが、昨年は、どの釣りにおいても思うような釣果を得ていなかったので、今回の釣果が小さいながらも発火点となって、やがては爆発する=爆釣に繋がるようになってもらいたいものだ。
年が明け、初釣りとなった。
近頃すっかり磯釣りには縁遠くなって、専ら沖釣りへ向かっているが、初釣りもその例に漏れず、乗船したのは大海丸(たいかいまる)という、西舞鶴の和田地区というところから出港している釣り船だ。
以前、この大海丸と同じ桟橋から出船する僚船によく乗船していた。二船は帰港した際にお互いの船の釣果を確認しあったりしていたのだが、その際、大海丸を「よく釣らせる船だ」と感じていたし、一般に評価も高いようだった。時は流れ、その僚船は廃業してしまったが、縁あって今回はその大海丸に初乗船となった次第だ。

●桟橋に係留中の大海丸●
■まずはメダイ狙いのハズが…■
当日は「冬の日本海側としては、少しはマシ」な状態ではあったが、そうはいっても空は鉛色に近く、波高も1.5m近かった。そんな冬型の気圧配置が少し緩んだ天候の中、舞鶴湾を出た大海丸は冠島と経ヶ岬の中間あたりへ向かった。

●鉛色の空と、冠雪する丹後半島●
これは、予め船長に「まずはメダイを」との希望を伝えていたためで、まずはその辺りの魚礁に回遊するであろう、そのメダイを狙ってのことだ。
実釣開始。天秤ズボ仕掛をセットし、まずは水深100mからハリス分5mを切ったタナを攻めた。勿論ここでエサ取り達にエサを取られれば5mずつタナを上げてゆくつもりだった。
普段のマダイ狙いで8mから長くて20mを使っている人からすれば、「ハリスが5m」というと、短く感じるかも知れないが、マキエサの周囲でエサを拾うマダイと違ってメダイはマキエサに突っ込んで来る習性があるので、短めにしないとアタリが遠退くからだ。
サシエサには当初、2本バリの両方にオキアミを装餌し、取られ具合によって、イカの短冊、ホタルイカ、サンマの切り身と交換して様子を伺うことにした。
仕掛を狙ったタナの3m下まで降ろし、そこで大きく竿をしゃくって一度カゴのマキエサを振り出す。次に、3m巻き上げて狙ったタナで二度目の振り出しを行ったら竿受けにセットしてアタリを待つ。ここから6分のインターバルで仕掛を回収するつもりなのだが、その中間の3分でもう一度マキエサの振り出しを行う。そして再びアタリを待つのだが、二度目の振り出しを行った直後に竿先から絞り込まれていった。
最初の一投からのアタりに胸が一瞬高鳴ったが、引き自体は大したことはなく、すぐにメダイではないと判断できた。案の定、上がってきたのは中小型のマダイだった。

●40cmほどのマダイ●
続いて兄の竿も舞い込んで、ボクの釣ったサイズよりも一回り大きなマダイを仕留めた。

●マダイを巻き上げ中の兄●
出来過ぎのスタートに驚くが、こういった場合は野球のスコアで言うところの「隅一(すみいち)」になることが多く、いつものようにイヤな予感が漂っていた。そしてその予感が現実のモノとなってゆく…。それ以降、少しエサ取りが増えたかと思ったが、それが収まるとエサが残りっぱなしの状態が続くようになってしまったのだ。
■今年初のメダイ■
不調になった原因は色々とあろうが、風と潮流と野向が互いに真逆に近い状態であることが一番であると考えられた。その影響で船の左右へのブレが激しく、見た感じでは風の強弱によって30m近くもポイントからズレてしまうのだ。
しかし、自然現象なので致し方なく、こちらとしては黙って仕掛を打ち返すしか手立てがないのだが、これが2時間近くも続いた。辛い時間を過ごす中、丁度沖合の冠島の二島の中心に船が収まる辺りで、ようやく竿先がふわっと動いた後に大きく舞い込んでいった。
「このアタリはメダイに違いない。」と思った矢先、強烈なファーストランが始まった。それをいなしてこちらが逆襲体制を取った途端、道糸から伝わる生命感が無くなった。不運にもハリ外れだった。
食ってきたのは上バリに装餌していたイカの短冊だったから、メダイの回遊を確信した以後は、それのみを装餌して次のアタリを待ち構えていたが、そこから1時間、またもや沈黙の時間が続いた。
そして再び先ほどと同じ位置に船が落ち着いた途端に同様のアタリがボクの竿を襲った。
サイズ的には特大ではないものの、何度も繰り返すしつこい締め込みはメダイに違いなく、慎重にやりとりを繰り返す。

●間違いなくメダイの締め込みだ!●
貴重な魚の引きを味わいつつ、無事にゲットできたのは紛れもない待望のメダイだった。

●今年初のメダイ=70cm弱●
しかし、続くアタリは皆無だった。隣で頑張る兄も同様だったが、メダイの味を知っているだけに、また、家で野菜のみを買って鍋を構えている家族のためにも諦めるわけにはいかない。
なんとか粘ってみるものの、あまりのアタリの無さにとうとうギブアップの時間がやってきた。
■フカセ場へ■
時間は午後二時半を過ぎていた。船長と相談の結果、冠島の周囲で完全フカセ釣りを行い、様子を見ることになった。

●完全フカセ仕掛に交換●
この頃、北西からの風が少し強さを増していたため、風裏になる小島の東側の水深45mラインで竿を出すことになった。
アンカーを入れ船が落ち着くと早速マキエサを巻き始めるが、最悪にも船首につながれたアンカーロープの方向に流れる潮だった。
それでも「島に沿って流れてくれれば大丈夫」という、船長の言葉を信じて仕掛の投入を開始する。
潮流は遅く、一流しあたりにかかる時間は長く、イライラさせられたが、一投目は65mで回収した。餌が残ったので次は80mまで流す。今度は餌を取られたので、次はサルカン部に発泡ウキの6番を入れ、仕掛の浮力を上げて、やや上のタナを流れるようにする。
そして、この仕掛を65m送り込んだ時、アラーム音と共にリールが急速逆転を始めた。指でスプールを押さえ、クラッチを入れてやり取りを開始する。しかし、アンカーロープの方向に魚が居るだけに、こういった場合は半ば強引なやり取りが必要になってくる。その締め込みから、青物の予感が始めから漂っていたから、巻き上げ速度を早めにしつつもドラグの調整を繰り返して相手との距離を詰めてゆく。
やがて船縁まで来た魚を船長が確認し、
「おめでとう、本命のヒラマサです。」という言葉が漏れた瞬間、嬉しさがこみ上げてきた。

●今年初ヒラマサ=65cm級●
しかし、またもや後が続かなかった。
流せども流せどもアタリが無いばかりか、エサすら取られないようになり、それどころかやがては流した仕掛が根掛かりしたり、アンカーロープに巻き付いたりのトラブルが続発し始めた。そして、釣りならない状態に嫌気が差して、またもやメダイ狙いの深場への移動が始まった。
■生命感ゼロ■
移動したのは75mラインの魚礁だった。
「さぁ、戦闘再開」と意気込んだものの、ボクの場合悪い方によく当たる天気予報通りに雨が降り始めた。しかも次第に雨脚は強くなっていった。

●降り注ぐ雨●
一般の人であればこんな状況下で外に立つ、ましてや船に揺られながらなんてことはバカ以外に思えないだろうけど、その通りの我ら釣りバカ兄弟は懸命に釣り続けた。
しかし、エサは取られず、それどころか海からの生命反応を全く感じない状況だった。そして雨音が変わったと思った途端、雨は雹(ひょうう)と変わって指先が凍えるようになり、「これ以上の継続は無理」と判断してこの日の釣りが終わった。
■振り返って■
この日は逆潮が続き、終始釣り辛かったが、それに加えて水温低下でもあったのだろうか?、完全な食い渋りでアタリが続かず、朝一以外は全て単発であった。そんな状況下であっても、天秤ズボ釣りでの本命魚であるメダイと完全フカセ釣りでの本命魚であるヒラマサを各一ながらゲットできたことは「幸先良い」と判断しても良いのかも知れない。
今年も沖釣りでスタートしたワケだが、昨年は、どの釣りにおいても思うような釣果を得ていなかったので、今回の釣果が小さいながらも発火点となって、やがては爆発する=爆釣に繋がるようになってもらいたいものだ。