相次ぐ荒天の呪縛が解けて、ようやく釣行機会を得た。向かったのは兵庫県の但馬海岸にある、柴山沖だった。
秋の回遊シーズンになると、この地区では落とし込み釣りで75cm級の中マサクラスが「一船30本!」なんて釣果が飛び出すのだが、昨年あたりから回遊量が減って、それは夢物語のようにっている。変わって、そんなに数は出ないが型が良い傾向になってる。振り返ればここ近年、福井県の玄達瀬~鷹巣沖や京都府の白石グリでも同様の傾向になっている。これは個人的には歓迎できるのだが、あまりに続き過ぎるとヒラマサ資源が枯渇する事に繋がるので心配のタネでもある。
そんな心配をしつつ、今シーズンは開幕したのだが、今年は特にベイトの回遊が遅れていて、前回は別場所で小アジを釣ってからのノマセ釣りになっていた。その後、水温が下がるにつれてウルメイワシが「そこそこ」回遊するようになって、本来の落とし込み釣り成立するようになっている。
乗船したのは豊洋丸さんで、この海域では毎回お世話になっている。釣果、と言うか、それよりも肝心要の、ベイトの回遊状況が回復傾向にあったので、期待をしつつ、この日の釣りがスタートした。
とは言うものの…。前半は殆どベイトが付かず、アチコチをウロウロとし、2時間余り探しに探してようやく見つけたポイントで突然ベイトの活性が上がり、確率変動が起こった。
「こうなればコッチのもん!」と、次なる本アタリを期待したが、それを送ってくれるのはメジロとは呼び辛い微妙なサイズのハマチばかりだった。
●本アタリは出るが…●
こっちがそればかりを連発する中、胴の釣り座で、そこそこサイズのヒラマサがゲットされていた。
結局、このジアイは2時間ほどあったが、ボクの釣果には、なーんの変化もないままの終わりを迎えてしまった。
その後は、またもやベイト探しの旅が始まった。
そして1~2時間経ったであろうか、ようやくベイトを掛ける事に成功し、久しぶりに本アタリを待てる状態になった。そして…。
ここではベイトの種類が違ったのか、弱々しい逃げ行動の後、待望の本アタリを捉える事に成功した。
それまでの引き感とは全く違う事から、そこそこサイズのヒラマサ(推定95cm級)と判断し、ドラグとサミングを駆使しながら、極力ラインを出さないやり取りで走りをいなして巻き上げ体制に入った。そこから距離を詰めていったのだが、数m巻き上げ、「ここから先はゆっくりやり取りしようか?」なんて思っていた矢先に急にテンションが無くなり、生命感が伝わらなくなってしまった。
「竿がしゃくるまで待って合わせたのにスッポ抜けかよ!」と思ったが、仕掛けを回収してビックリ仰天。ハリが伸ばされたことによるバラシだったのだ。
この日、ジアイ以外はベイトの乗りが悪かったので、自作を中心に、普段はめったに使わない市販の仕掛を交えて取っ替え引っ替えしながらカラーをローテーションさせていたのだが、この時点で使っていたのは市販品の方だった。ハリスが16号の「ヒラマサスペシャル」という物だったのだが、メーターを優に超えるクラスが走った衝撃があって枝スが飛んだのなら仕方ないものの、そこそこサイズの引きにハリのフトコロが伸びてしまった事は、何とも承服し難い。
ハリには焼きムラもあって、同一ロットでもバラツキがあるのは理解しているが、よりによって5本ある枝バリの中で、その弱かったもかも知れない1本に掛かるなんて、よほど日頃の行いが悪かったのだろう。己の不運を嘆いた瞬間だった。
●ナ~ンそれっ!●
その後はベイトが乗らない時間帯が続いて、ジ・エンド。ハマチのお兄さん級が12本という釣果でこの日の釣りが終わった。
残る釣行チャンスは年末に向けて減っていくが、このまま尻すぼみで今年の釣りが終わってしまうのは辛すぎる。どこかでパッと花咲くような釣果が出てくれる事を祈るのみだ。